「原田和典 ブログ人」

静寂を求めて -癒やしのサイレンス-

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映画「静寂を求めて −癒やしのサイレンス−」(原題;In Pursuit of Silence)の試写に行きました。監督はパトリック・シェン、出演はグレッグ・ヒンディ、ジョン・ケージ(往年のパフォーマンス)、宝積玄承など。
世の中、音だらけです。ぼくは東京を拠点にしていますが、外で電話をとったとしても、会話が難なくできる場所などほぼないといっていいです。音楽、交通、他人の会話などがひっきりなしに入ってくる状態では、受話器を通じてしゃべっていても、それは大声となり、場合によっては何度も訊き返すことになります。
に対して、この映画の静けさときたら。グレッグ・ヒンディは23歳の誕生日から1年間、一言もしゃべらないという誓いを立てて、徒歩でアメリカ大陸を横断することを決めます。これをモチーフA、「言葉」に関するものとしましょう。モチーフBは「音楽」に関するもので、ジョン・ケージの「4分33秒」、無響室などがフィーチャーされます。モチーフCは(西洋人の考える)「禅」ともつながっていくのでしょうか、沈黙と心のありようとの関係です。
この映画では以上のA,B,Cがフーガのように絡み合っています。そして見る者を内省的な気分にします。
ぼくは「音の出るもの」に関する仕事をしていて、チェンバロの独奏や歌手のアカペラなどマイクを使わないものからアンプ山積みのイングヴェイ・マルムスティーンやマイ・ブラッディ・ヴァレンタインまでさまざまなライヴを聴いてきました。そんな自分にとって静寂とは何なのか、観終えてからもしばらく考えました。
音楽ファンにこそ見てほしい一作です。9月22日からポレポレ東中野ほか全国順次ロードショー。168.png





# by haradakazunori | 2018-09-03 12:04 | 映画

雑誌情報

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「HiVi」最新号、「東京ライブストーリー」の第3回目掲載です。今回はディスコ・リバイバルの切り札、タキシード!
ぜひお読みください!!!172.png






# by haradakazunori | 2018-08-28 12:13 | 書籍・雑誌

若い女

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映画『若い女』(原題Jeune Femme)の試写にいきました。監督・脚本:レオノール・セライユ、出演:レティシア・ドッシュ、グレゴワール・モンサンジョン他。2017年のフランス映画です。レオノールはこの作品でカンヌ国際映画祭のカメラドール(新人監督賞)、レティシアはリュミエール賞の最有望女優賞を受賞しています。
フランス映画というだけで、フランス語が聞こえてきたりパリの街並みが映るだけで“おしゃれだなあ”と思うくらい、ぼくは真正日本人なのですが、見進めていくと、この物語は決しておしゃれではないなと思うのに時間はかかりませんでした。10年以上付き合っていた彼氏に突然別れを告げられ、錯乱状態になる31歳の女性。そこから大切な猫(長毛種)を連れて、知り合いの家に泊めてもらう旅が始まりますが、見ていくうちに彼女の性格が相当に激しやすくわがままであることがわかります。つまり誰の部屋に転がり込んでもうまくいきません(母親とさえも)。やがて就職先を見つけ、忙しく働き始めるのですが、はたして彼女のキャラクターに変化は現れるのでしょうか・・・
ぼくは猫の魅力、および数回にわたって使用されているギル・エヴァンスの名演「ラスベガス・タンゴ」に惹かれて最後まで見入ってしまいました。8月25日から渋谷ユーロスペースでロードショー。163.png





# by haradakazunori | 2018-08-20 12:17 | 映画

雑誌情報

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「ミュージック・マガジン」最新号に書いています。
「レコード・コレクターズ」最新号に書いています。
「CDジャーナル」最新号に書いています。
「ジャズジャパン」最新号に書いています。原ゆうまさんインタビュー、勝新太郎さんトリビュート作品、マンガジャケ秘話など。
「HiVi」最新号に書いています。今回は「東京ライブストーリー」第2回(ビアンカ・ジスモンチ)と、80年代を振り返るエッセイを担当しています。
ぜひお読みください!!!172.png




# by haradakazunori | 2018-07-22 11:37 | 書籍・雑誌

祈り 三部作

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岩波ホール創立50周年記念特別企画として、ジョージア(グルジア)の映画監督、テンギズ・アブラゼの“祈り 三部作”が上映されます。三部作のラインナップは『祈り』(67年)、『希望の樹』(76年)、『懺悔』(84年)。8月4日から9月14日まで毎日全作品が上映されます(『祈り』は1日2回、他作品は1回)。ぼくは『祈り』の試写にいきました。
『祈り』は今回が日本初公開。19世紀ジョージアを代表する作家V.プシャヴェラの叙事詩をモチーフにした作品です。テーマはキリスト教とイスラム教の対立です。宗教が複数に存在し始めた日から、こうした争いはやむことがないのでしょう。モノクロ画面は驚くほどカラフルに想像力をかきたててくれます。「ネガ/ポジの転換」、「ふたりの会話を捉えるうちに、そのひとりの顔がアングルからはずれるのだが、それでも移動もクローズアップもせず、そのままはずれた姿を捉え続けるカメラ」、「すさまじい傾斜の坂を踏みしめながらの人々の大移動」などなど。見た後にじんわりと余韻(それは決して甘美なものではないのですが)が沁みてきて、「あなたはどう思いますか?」と、誰かとじっくり話し合いたくなるような作品です。
若者の恋愛とそれを壊そうとする旧世代の軋轢を描く『希望の樹』、独裁者によって困難を強いられる国民を描いた『懺悔』ともども、ぼくは岩波ホールで見直そうと思っています。ぼくは明るく楽しい娯楽映画が好きですが、こういう作品にも接することが大切だなあと、身の引き締まる思いがしました。来年はアブラゼ監督の没後25年です。165.png




# by haradakazunori | 2018-07-13 12:02 | 映画

音楽ライター/ジャーナリスト、原田和典のブログです。
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