「原田和典 ブログ人」

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ラッキー

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映画『ラッキー』の試写に行きました。俳優のジョン・キャロル・リンチが初監督を務め、昨年9月に91歳で亡くなったハリー・ディーン・スタントンが主演します。『パリ、テキサス』、『ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の7日間』、『ツイン・ピークス The Return』等にも登場した“寡黙な男”です。
脚本のローガン・スパークスとドラゴ・スモーニャは、ハリーへの“あて書き”として台本を仕上げました。主人公のラッキーは、アメリカ南西部、砂漠近くの田舎(といっていいでしょう)に住む90歳。第二次世界大戦の従軍経験があり、後半では渋い歌を披露するシーンもあります。このあたり、沖縄で闘い、ミュージシャンとしても活動したハリーのプロフィールがそのまま反映されているといっていいでしょう。ぜい肉ひとつないスラリとした体、ボサボサの髪の毛。顔には深いしわが刻まれ、つぶやくようにしゃべります。どこまで地なのか? どこまで演じているのか? そこに関心を寄せながら観るのも面白いと思います。
バーやダイナーでの「気の置けない仲間との日常そのもの」といった感じの英会話(こんな言い回し、授業では教えてくれないと思います)、華やかなマリアッチ・パーティ。『M★A★S★H』に出ていたトム・スケリット(フレッド役)と戦争中の思い出話をするところ、突如出てくるリベラーチェ(彼の人生を基にした映画『恋するリベラーチェ』も記憶に新しいところでしょう)のライブ映像など、印象深いシーンが次々と登場します。ハリーの長年にわたる友人の映画監督、デヴィッド・リンチが「愛亀に逃げられて悲嘆にくれる男」を演じているのも観ものです。さあ、その亀は戻ってくるのでしょうか?
ラストに流れる「The Man In The Moonshine」はハリーの友人でやはり映画監督/俳優として知られる、フォスター・ティムズによる楽曲。“月明かりに立つ男”といった意味でしょうか。ハリーの出演映画のタイトルを散りばめながら、じっくりと歌い込みます。これがまた、深い余韻を残します。
渋い爺さんになりたいと思っている方、アメリカーナに関心のある方、「生きた英語」を感じたい方、そしてもちろん各役者のファンは必見といえましょう。3月17日から新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク渋谷ほか全国順次公開。164.png





by haradakazunori | 2018-02-17 10:32 | 映画

デイヴィッドとギリアン 響きあうふたり

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ドキュメンタリー映画『デイヴィッドとギリアン 響きあうふたり』の試写にいきました。クラシック・ピアニストのデイヴィッド・ヘルフゴットと、ギリアン夫人の物語です。監督・脚本はコジマ・ランゲ。
デイヴィッドは日本でも話題を呼んだアカデミー賞受賞作劇映画『シャイン』のモデルでもあった人物です。ベタな言い方をすれば“神童とうたわれ、その後に精神を患い、11年間ピアノに触れることがなかったが、奇跡の復帰をとげた天才ピアニスト”ということになります。料理方法によっては、お涙ちょうだいのベタベタ物語にすることもできましょう。が、『響きあうふたり』は、彼が実にユーモラスで率直で洒落ていて、自己の音楽表現に関して無類の厳しさを持つ人物であることを軽やかに描き出します。『シャイン』の裏話には、思わず吹き出しました。ギリアン夫人は自分の世界に没頭する(なのに人好きで、誰にでもコミュニケーションをとろうとする)彼と世間一般とのパイプ役でもあり、妻であり母であり看護婦のような存在なのでしょう。
デイヴィッドは何度か来日したことがありますが、ぼくはまだそれを体験していません。「ライブ、見たいなあ」と心から思いました。映画を見ていると、鋭く冴えるピアノの音に、どんどん引き込まれていくのです。声をあげて弾き、休符の時は客席を見ながら何か話しかけています。タキシードは着ません。インドのクルタ―のようなものが彼のステージ衣装です。
共演した音楽家の発言の中に、「即興的な要素がある」「ジャズっぽい」といったフレーズも登場します。彼がクラシックの枠から離れ、思いっきり即興を繰り広げたらどうなるだろう? そんなパフォーマンスがECMレーベルから出たら面白いのになあ、などなど、ぼくの夢想はふくらんでいきました。3月3日から東京・シアター・イメージフォーラムなど全国順次ロードショー。169.png





by haradakazunori | 2018-02-02 11:59 | 映画

音楽ライター/ジャーナリスト、原田和典のブログです。
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