「原田和典 ブログ人」

心と体と

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映画『心と体と』の試写に行きました。2017年のハンガリー映画(監督・脚本はイルディコー・エニェディ)で、英語タイトルは『On Body and Soul』。2017年ベルリン国際映画祭では金熊賞<最高賞>受賞など4冠の快挙。2018年アカデミー賞 外国語映画賞ノミネート作品でもあります。
ブダペストの食肉処理場に、マーリア(アレクサンドラ・ボルベーイ)という若い女性が代理職員としてやってきました。内気で不器用なところがありますが、記憶力は人並み外れて抜群です。そんな彼女を気にかけているのが上司のエンドレ(ゲーザ・モルチャーニ)です。渋さを煮つめたような初老の男性で、セリフとセリフの“間”が絶妙です。どれほど豊富なキャリアを積んだ役者なのだろうと思いながら見ましたが、なんと演技経験は今回が初めて、普段は翻訳や出版編集の仕事をしているのだそうです。ゲーザを役者として見出した監督は、まさに慧眼です。
物語は、ある日、処理場で「事件」が起こったことで次の展開に進みます。処理場の全員が個別に呼び出され、カウンセリングを受けます。そこでマーリアとエンドレはお互いが「同じ風景の鹿の夢を見ている」ことを知り、距離を近づけていきます。物語はここから、クライマックスに向けて穏やかに駆け上がります。「透明感のある画像+ハンガリー語の美しさ+そぎ落とされた役者の演技」をぜひスクリーンで体感してほしいと思います。
字幕のキメ細かさも印象に残りました。ハンガリー語には日本語同様「タメ口」と「敬語」があり、それを相手との関係で使い分けます。そのあたりの訳しわけも注目すべきでしょう。また劇中では、UKのシンガー・ソングライター、ローラ・マーリングの楽曲「What He Wrote」(歌詞は英語)がとても効果的に使われており、そこも見どころ・聴きどころです。
ラブストーリーの描き方は無限です。ぼくはこの映画に接して「まだこういう視点があったのか」と、爽快な衝撃を受けました。4月14日より新宿シネマカリテ、池袋シネマ・ロサでロードショー。169.png





by haradakazunori | 2018-03-14 11:56 | 映画

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