「原田和典 ブログ人」

新世紀 パリ・オペラ座

c0348127_12560533.jpg
 
ドキュメンタリー映画『新世紀 パリ・オペラ座』の試写に行きました。監督はジャン=ステファヌ・ブロン。パリ・オペラ座はルイ14世の時代から350年もの間、オペラやバレエを上演する名門中の名門です。ぼくはパリに行ったことがないのですが(トランジットで立ち寄っただけ)、昔からぜひ訪れてみたいと思っている地です。この映画は、その気持ちをさらに高めてくれました。
2015年11月、同時多発テロでパリのバタクラン劇場が襲撃されました。そして2016年には、バンジャマン・ミルピエがバレエ団の芸術監督を辞任し(彼はナタリー・ポートマンの夫としても知られています。昨年12月には彼に的を絞った映画『ミルピエ』が日本公開されました)、オレリー・デュポンが後を引き継ぎました。歴史と伝統にあぐらをかいてはいけない。テロに屈してはいけない。いかに若い世代に、この場所に来てもらうか。未来を担う音楽家を、いかに育成していくか。どう、時代に向き合っていくか。この映画には、その“動き”が刻まれています。
ブロン監督はポスト・ロックを聴いて育った世代だそうです。オペラやバレエについては「全く知らなかった」といいます。しかしオペラ座という巨大な組織がどう機能しているのかに興味を持ったこと、プロデューサーのフィリップ・マルタンとオペラ座総裁のステファン・リスナーが知り合いだったことが重なり、このドキュメンタリーを作ることを決意します。ぼくもオペラやバレエについては「メトロポリタン・オペラハウス」で実演を見たぐらいで詳しくありません。ですが、大いに楽しめました。監督が「未知のもの」に出会い、心をおどらせながら生き生きと画面を編んでいることが、こちらにもしっかり伝わってくるのです。
それにしても、とんでもない人数がひとつの演目にかかわっています。オーケストラ、合唱団、そしてスタッフ。すさまじい数の人がきびきびと動きます。“裏方”の活躍にしっかりスポットを当てているのも、この映画の大きな魅力であると、ぼくは感じました。リハーサルも熱いです。ソーセージを意味するドイツ語“ヴルストケーゼ”の発音について、おそろしく丁寧にパワフルに指導するコーチと、必死にそれに食らいつきながら、rの発音をより完璧なものにしようと奮闘する若手歌手とのやりとりは、まさしくオペラにかける情熱のぶつかりあいです。12月9日からBunkamuraル・シネマで上映。169.png





by haradakazunori | 2017-11-19 08:13 | 映画

音楽ライター/ジャーナリスト、原田和典のブログです。
by harada kazunori
プロフィールを見る
画像一覧

最新のコメント

最新のトラックバック

venusgood.co..
from venusgood.com/..
venussome.com
from venussome.com
http://while..
from http://whileli..
http://while..
from http://whileli..
http://www.v..
from http://www.val..
「ボーン・トゥ・ビー・ブ..
from ここなつ映画レビュー

検索

ブログパーツ

最新の記事

ラッキー
at 2018-02-17 10:32
デイヴィッドとギリアン 響き..
at 2018-02-02 11:59
CD情報
at 2018-01-29 10:24
CD情報
at 2018-01-28 10:47
雑誌情報
at 2018-01-25 11:11
ビッグ・シック ぼくたちの大..
at 2018-01-21 11:09
明日1月6日、イベント開催!
at 2018-01-05 09:58
デヴィッド・リンチ:アートライフ
at 2017-12-29 10:53

外部リンク

ファン