「原田和典 ブログ人」

めだまろん ザ・レジデンツ・ムービー

c0348127_09325832.jpg
めだまろん ザ・レジデンツ・ムービー」の試写に行きました。謎だらけの音楽パフォーマンス集団、ザ・レジデンツの謎にせまるドキュメンタリー映画です。監督・脚本はドン・ハーディー。
ぼくがレジデンツを好きなのは、覆面レスラー的なところがあるからでもあります。ザ・コブラとジョージ高野が同一人物だということを知ってしまったときのような、武藤敬司とグレート・ムタの対戦が不可能であることを知ってしまったときのような、見てはいけないものを見てしまった、ヤバイ現場に立ち会ってしまった感を、見る者・聴く者に抱かせるのです。30数年ぶりの来日公演が先日「ブルーノート東京」で開催され、ぼくも行きましたが(ライヴ評はこちら)、顔は覆い隠され、衣装も見る者の意識をそらすというか、目をちかちかさせる効果を狙っているようでした。そのライヴに接して、「なぜそこまで自分を隠すのか」と思ったファンは、この映画をなにはなくとも体験するべきだと思います。
ザ・レジデンツは約半世紀のキャリアを持っています。メンバーが不動なのか、それともその都度入れ替わっているのかも謎です。アメリカ南部から西海岸への移転、結成初期のパフォーマンス映像(フリージャズの影響が濃厚です)、ワーナー・ブラザーズでのリリースを望んでデモテープを送った話、自主レーベル“ラルフ・レコーズ”のこと、映像作品への先見性、往年のPVや近年のヨーロッパにおけるライヴ映像などが、歯切れよく紹介されていきます。インタビュイーはプライマスのレス・クレイプール、トーキング・ヘッズのジェリー・ハリソン、ディーヴォのジョシュ・フリース、マンガ「ザ・シンプソンズ」の原作者マット・グレイニング等。彼らは知人、ファンという感じで登場しますが、「ひょっとしたらこの中の誰かがレジデンツの一員かもしれない」と思うと、見る側にも一層の力が入ろうというものです。
「で、レジデンツっていったい誰なの?」という謎に、この映画がどのくらいまで答えてくれるのか。それについては、百聞は一見にしかずです。音楽好き、レジデンツ好きの友人を誘ってみて、見終わったあとにあれこれ「憶測」するのも楽しいのではないでしょうか。7月1日よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。149.png




# by haradakazunori | 2017-06-08 09:38 | 映画

ボンジュール、アン

c0348127_11143020.jpg
映画「ボンジュール、アン」の試写に行きました。
原題は「Paris Can Wait」。何を待っているのだろうと思いながら見はじめましたが、やがて「ああ、そういうことだったのか」と誰もが納得することでしょう。主役のアン(ダイアン・レイン)は、多忙を極める映画プロデューサー(アレック・ボールドウィン)の妻。一緒に飛行機でカンヌからパリに行く予定でしたが、耳の調子がいまいちなので飛行機に乗るのは避けようと、車でパリに向かうことにします。ハンドルを握るのは夫の仕事仲間であるジャック(アルノー・ヴィアール)。フランス語のできないアンにとって、フランス人であり、フランスの名所をいろいろ知っていて、いろんな場所に知り合いのいるジャックの存在は心強いものでした。しかも「父親に似ている」というのです。
ふたりはいろんな場所を“寄り道”しながら、時間をかけてパリに向かいます。その間、さまざまな場所、さまざまな風景が画面に登場します。これは、一種のロード・ムーヴィーでもあるのです。暴力や犯罪のシーンもなく、ギョッとするような展開もないですが、そのかわり、おいしいに間違いないであろう食事、風にそよぐ草原や自然光などがスクリーンにあらわれて、なごませてくれます。
監督はエレノア・コッポラ。もちろんフランシス・フォード・コッポラの妻で、女優としても有名な、あのエレノアです。長編劇映画を監督するのは今回が初めてなのだそうですが、とてもインティミトな作品になっていると思います。7月7日からTOHOシネマズ シャンテ、TOHOシネマズ 日本橋、TOHOシネマズ 六本木ヒルズで公開。101.png





# by haradakazunori | 2017-05-28 09:27 | 映画

ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣

c0348127_09154809.jpg

映画「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」の試写に行きました。監督はスティーヴン・カンター、イギリスとアメリカの共同制作です。
この作品はセルゲイのドキュメンタリーです。1989年ウクライナに生まれ、13歳で英国ロイヤル・バレエスクールに入学、19歳でロイヤル・バレエ団の史上最年少男性プリンシパルになります。しかしその2年後、人気絶頂の時に退団。ドラッグとも闘っていた描写もありましたが、ホージアのヒット曲「Take Me to Church」のミュージック・ビデオ(デヴィッド・ラシャベル監督)でのダンスが話題を集め、動画サイトでは1800万回以上再生されました(いまも増え続けています)。
この映画は2016年完成、ということはその数年前に制作が始まったのでしょう。そうなるとスタッフは当時「20代なかばのひと」を題材にドキュメンタリー映画を作っていた、ということになります。「何十年も前に死んだ伝説の人物」「長い時間を生きてきたレジェンド」ならともかく、現在進行形の気鋭を扱うケースは比較的珍しいはずです。それほどセルゲイが価値のある人物だ、ということでもあるのでしょうが、ぼくは、「この若さで英雄視されるのも、実に大変なことであるなあ」という気持ちを、“天才”に対して持ちました。
また印象的だったのは、子供のころに撮影されたダンスの映像がたくさんフィーチャーされていたことです。自分の世代にはありえなかったことです。さすが1989年生まれ(Perfumeと同世代です)だなあと感じました。両親も早くからセルゲイの才能に気づいていて、「いつか息子が大物になって、英語圏のスタッフがドキュメンタリーをつくるために尋ねてきたら、そのときに提供できるな」と思いながら撮っていたのではないか・・・とすら思えるほど、カメラ・ワークも絶妙なのです。
正直に言いましょう。見終わったあと、ぼくの周りをぐるぐるしていたのは、天才に対するあこがれと嫉妬です。天才ではない皆さんに、ぜひこれを見てほしいと思います。7月15日から、渋谷Bunkamuraル・シネマ、新宿武蔵野館で公開。101.png





# by haradakazunori | 2017-05-27 10:17 | 映画

ローラ

c0348127_09120572.jpg
7月下旬、特集上映「ドゥミとヴァルダ、幸福(しあわせ)についての5つの物語」が行なわれます(渋谷・シアターイメージフォーラムほか全国順次ロードショー)。
その中から「ローラ」(ジャック・ドゥミ監督)の試写が行なわれました。1961年制作、201 2年のデジタル修復完全版です。出演はアヌーク・エーメ、マルク・ミシェル、ジャック・アルダン、アラン・スコット等。
ストーリーに関しては何度もいろんな方が語りつくしてきたことでしょう。確かに「語りたくなる力」を持つ作品です。初恋のひとを待ち続ける大人の女性ローラと、アメリカ人の兵隊に恋をする14歳のセシルの“相似”が見事です。書店とレコード店を兼ねた場所のシーンで、「サッシャ・ディステルのレコードが欲しい」「また今度ね」というような母娘の会話があったのにもしびれました。サッシャはジミー・レイニーの影響を受けたジャズ・ギタリストで、ポップス(シャンソン)歌手としても知られ、ルックスも良くてアイドル的な人気もあったのでした。ブリジット・バルドーと出会ったのは1957年頃、結婚寸前までいきました。
音楽はミシェル・ルグランが担当、のちに「Watch What Happens」という英語タイトルで世界に知られるようになるメロディはこれが初出です(「ローラのテーマ」)。ドゥミはこの曲がよほど好きだったのか、映画『シェルブールの雨傘』でも「カサールの告白」というタイトルで使用しています。ルグランの自伝では『シェルブール』が初出のように書いてありますが、「自伝は記憶違いの宝庫」というのが、ぼくの率直な考えです。
他の上映作品は「天使の入江」(劇場正式初公開)、「ジャック・ドゥミの少年期」、「5時から7時までのクレオ」、「幸福(しあわせ)」、さらに「幸福(しあわせ)」との同時特別上映で「3つのボタン」(デヴィッド・ビニー、セバスチャン・テクシエ、ジャン=フィリップ・ヴィレ等が音楽を担当)。必見です!172.png





# by haradakazunori | 2017-05-26 09:14 | 映画

雑誌情報

c0348127_11124647.jpg
c0348127_11124657.jpg
c0348127_11124662.jpg
c0348127_11124607.jpg
「レコード・コレクターズ」の最新号に書いています。
「ミュージック・マガジン」の最新号に書いています。
「CDジャーナル」の最新号に書いています。
「ジャズジャパン」の最新号に書いています。チェット・ベイカーの特集記事です。
「映画秘宝」の最新号では6月17日公開「-約束の地、メンフィス 〜テイク・ミー・トゥー・ザ・リバー〜」について書いています。
以上、ぜひぜひよろしくお願いいたします。107.png




# by haradakazunori | 2017-05-23 11:13 | 書籍・雑誌

音楽ライター/ジャーナリスト、原田和典のブログです。
by harada kazunori
プロフィールを見る
画像一覧

最新のコメント

最新のトラックバック

venusgood.co..
from venusgood.com/..
venussome.com
from venussome.com
http://while..
from http://whileli..
http://while..
from http://whileli..
http://www.v..
from http://www.val..
「ボーン・トゥ・ビー・ブ..
from ここなつ映画レビュー

検索

ブログパーツ

最新の記事

雑誌情報
at 2017-08-22 11:23
追想
at 2017-07-28 11:00
あさがくるまえに
at 2017-07-26 10:31
雑誌情報
at 2017-07-24 11:48
ロスト・イン・パリ
at 2017-07-06 11:20
リベリアの白い血
at 2017-07-04 11:55
雑誌情報
at 2017-07-03 09:42
天使の入江
at 2017-06-29 11:06

外部リンク

ファン