「原田和典 ブログ人」

カテゴリ:映画( 48 )




Beauty of Tradition

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映画「Beauty of Tradition ―ミャンマー民族音楽への旅―」の試写にいってきました。監督・音楽・プロデューサーは、「夢のまにまに」(長門裕之、有馬稲子、宮沢りえ出演)の音楽や、エアプレーンレーベルでの活動でも知られる川端潤。昨年9月に出たCD「Beauty of Tradition - ミャンマーの伝統音楽、その深淵への旅」の映像版といってもいいでしょう。
今こそミャンマーの伝統音楽を記録しておきたいと考えた監督は、トランク7つに録音機材を詰め込んで2013年の4月から5月にかけてミャンマーに滞在。ヤンゴン郊外のスタジオで約100曲を録音しました。その模様を中心にした映画です。力強い歌声、美しい民族楽器(サインワインという楽器の音色と美しいチューニングに聴きほれました)、パワフルなアンサンブルを楽しむことができます。現代の方式によるレコーディングなので、バンド・メンバーが一堂に会することはありませんが・・・(最初にリズムが収録され、最後に歌がかぶせられる。後でミキシングする)。このメンバーによるライヴ、見たいなあと思いました。
風呂桶の中に大小の太鼓がぶらさがっているような形を持つサインワインを見るだけでも感激がこみあげてくることでしょう。6月27日からポレポレ東中野にて公開。061.gif




by haradakazunori | 2015-05-25 10:58 | 映画

飛べないコトリとメリーゴーランド

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映画「飛べないコトリとメリーゴーランド」(市川悠輔監督)の試写に行きました。主演は岡野真也(まや)、共演と音楽はチャラン・ポ・ランタンです。
インターンとして出版社で働いているときに出会った男に恋をし、だけどなんだかうまくいかなくなり、そのうち彼女に好意を抱いていた会社の先輩と仲良くなる・・・と書いていると、「それが映画になるのか」と思ってしまいますが、なるのです。飛び切りメリハリのある内容に、最後まで引き込まれました。日常風景の描写が絶妙であること、現実世界と幻想世界の切り替えが実に鮮やかであること。岡野さんの素晴らしさもあいまって、繰り返し見たいなあ、と思いました。
児嶋一哉が経営する古本屋の壁に、なぜかアビー・リンカーン「ストレイト・アヘッド」の再発盤のLPジャケットが飾られているのもポイントです。
7月4日から、新宿シネマカリテでモーニング&レイトショー。061.gif




by haradakazunori | 2015-05-20 11:34 | 映画

涙するまで、生きる

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映画「涙するまで、生きる」(ダヴィド・オールホッフェン監督)の試写に行きました。原作はアルベール・カミュの「客」、1954年のアルジェリアが舞台です。元軍人の教師のもとに、殺人の容疑がかけられたアラブ人が連行されてきます。「彼を山の向こうまで送り届けよ」という憲兵の命令を受け、教師とアラブ人は一緒に山を越えようとします。その間に反乱軍(ゲリラ)とフランス軍の争いに巻き込まれる等、数々の命の危機にさらされながらも、2人の間にはだんだん友情が育まれて行きます。地味な映画ですが、終わった後の余韻は実に深い。そう申し上げてよいでしょう。
主演の教師役はヴィゴ・モーテンセン(「イースタン・プロミス」でアカデミー賞主演男優賞ノミネート)、アラブの囚人役はレダ・カテブ。音楽はニック・ケイヴが担当しています。5月30日より、渋谷・シアターイメージフォーラムで上映されます。061.gif





by haradakazunori | 2015-05-19 10:38 | 映画

「ローリング」試写会

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冨永昌敬監督の新作「ローリング」の試写にいきました。主演は三浦貴大、柳英里紗、川瀬陽太。
校内の盗撮事件がばれて行方をくらましていた元・高校教師が、キャバクラ嬢を連れて久しぶりに水戸に戻ってきます。そこを運悪く元・教え子に見つかり、追い掛け回され、ビルに逃げたら、そこで「おしぼり業者」に出会います。彼も元・教え子でした。おしぼり業者はキャバクラ嬢に一目ぼれし、元・教師から奪ってしまいます・・・
と書いたところで、これが前半3分ぐらいです。以降、芸能界も巻き込んで目の離せないような展開が続き、90分そこそこなのに、超大作を見たような気分になりました。「誰が正しいのか、誰が間違っているのか、誰が問題の源なのか」などという視点は消え去ってしまいます。そして最後には人間の哀しさが残ります。この映画、流行ってほしいと心から思います。6月13日から新宿K’sシネマほか全国順次ロードショー。061.gif





by haradakazunori | 2015-05-13 10:55 | 映画

「ジェームス・ブラウン~最高の魂(ソウル)を持つ男~」

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映画「ジェームス・ブラウン~最高の魂(ソウル)を持つ男~」の試写に行ってまいりました。監督はテイト・テイラー、プロデューサーはミック・ジャガー。そしてブラウンにはチャドウィック・ボーズマンが扮します。見たところブラウンよりいい男、背も高いようですが、しゃべり方はブラウンそっくりといってよく、ライヴ・パフォーマンスでの股割り(スプリット)やダンスも見事にコピーしています。さらにブラウンの受け口を再現するために、特殊なアタッチメントを口につけるという徹底ぶり。歌唱は「王者の替わりはいない」ということなのか、すべてブラウン本人の吹き込みが使われていますが、チャドウィックの動きとのシンクロ具合には驚くしかありません。
ほかにも「メイシオ・パーカーに扮した役者が、なぜ太ったオッサンなのか」、「1955年のレコード会社のオフィスの壁に、なぜ1958年のビル・ドゲットのLPジャケットがあるのか」等のツッコミはありますが、なにしろブラウン本人の歌唱が素晴らしすぎて、ただひたすら圧倒されたまま、約2時間20分を過ごしました。
ぼくは今まで生きてきて、「日本では思いのほかブラック・ミュージックが受け入れられていない。この音楽に心を燃やす自分は圧倒的な少数派なのだろう」ということを日々、痛感しています。ブラウンにまつわる映画が日本で公開されるのは快挙です。これを機会に、王者ブラウンの全盛期の名唱の数々が、朝に昼に夜に、ラジオやテレビや街頭でガンガン流れることを願ってやみません。もうそろそろみんな、ぬるくて、あまったるくて、退屈で、にやけた、口先や手先だけの音楽には飽きてきただろ? 5月30日(土)から渋谷・シネクイントほかで全国公開。053.gif






by haradakazunori | 2015-04-10 11:29 | 映画

アラヤシキの住人たち

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映画「アラヤシキの住人たち」の試写に行ってきました。ベルリン国際映画祭を受賞した『アレクセイと泉』の本橋成一監督の、6年ぶりの新作です。
長野県小谷村の、車の通わない山道を1時間半歩いたところにある「真木共働学舎」(1974年創設)が舞台です。今の社会に肉体的・精神的な生きづらさを抱えているひとたちが集まって、寝食を共にするコミュニティといえばいいでしょうか。学舎の四季を、ゆるやかに約2時間の中にまとめています。出演者は俳優などではなく、みんな「素人」です。飾りのない振る舞い、笑顔、怒りに、ぼくはいつしか自分自身を重ねていました。農業、掃除、考えの行き違いによる口論、山羊の出産、結婚式など数々のシーンが登場します。ラジオ体操をする犬、クリスマス・ソングを歌うひとの腕に抱かれる猫、印象的です。また、どういうふうにマイクを立てたのか、音質も素晴らしく良いです。
5月1日から、東京・ポレポレ東中野にてロードショー、その後、順次全国公開とのことです。063.gif




by haradakazunori | 2015-03-20 09:49 | 映画

パーフェクト・プラン

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映画「パーフェクト・プラン」の試写にいきました。監督はヘンリク・ルーベン・ゲンツ、主演はジェームズ・フランコとケイト・ハドソン。セリフは英語です。主演ふたり扮する夫婦がアメリカ・シカゴからイギリスに移住したのですが、生活は一向に楽にならず、「いくらいくら払わないとアパートを出て行ってもらう」という勧告を受ける。そんな日が続く中、階下の住人が大量の札束を散乱させたまま怪死。そのお金に手を付けた夫婦の末路やいかに・・・というストーリーです。
もったいぶったところのない演出、ものすごくわかりやすい展開、90分という適度な時間(ぼくは戦後日本のプログラム・ピクチャーが好きなので、このくらいの尺がちょうどいい)、全部が歯切れよかったです。「1本映画を見ると移動時間を含めて4~5時間かかる」という方でも、この映画ならばすっきり見て楽しんで次の用事に移れると思います。2015年2月28日からシネマート新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷、ユナイテッド・シネマ豊洲で上映。061.gif




by haradakazunori | 2014-12-24 11:00 | 映画

仲代達矢「役者」を生きる

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ドキュメンタリー「仲代達矢「役者」を生きる」(稲塚秀孝監督)の試写に行きました。

50年来の夢だったというイヨネスコ作「授業」の舞台。それに挑む姿が映し出されます。自分を含む出演者の全セリフを紙に書いて覚え(「他人のセリフも覚えることで、芝居全体が深く把握できる」というようなことを山田五十鈴さんに言われ、それを守っているそうです)。繰り返し共演者と稽古を続けたあと、本番が訪れます。出演者は仲代さんを含む3人。90分の舞台のうち、9割は仲代さんのセリフです。それを見ることができる幸運な観客は、毎回50名ほど。黒澤明や小林正樹など数多くの監督に起用された才能が、今、80歳を超えてもなお、生声によるライヴに情熱を燃やしているのが素晴らしいではないですか。

無名塾の話も出ます。「応募者の中から十数名を選び、特訓のあと休みを与え、戻ってきたのは2名」というくだりもリアルでした。

内容は3部構成で、すべてがよどみなく流れます。巨匠をモチーフにした、いくつかのドキュメンタリーには、監督の「巨匠を撮っている俺」というエゴが出すぎてイヤになるものもあります。しかし本作にはそれがない。稲塚さんは本当に仲代さん、演劇、そしてドキュメンタリーに敬意を持っているのだと思います。1月31日から渋谷ユーロスペースでモーニングショー。







by haradakazunori | 2014-12-18 09:18 | 映画

音楽ライター/ジャーナリスト、原田和典のブログです。
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