「原田和典 ブログ人」

カテゴリ:映画( 48 )




さとにきたらええやん

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映画「さとにきたらええやん」(重江良樹監督)の試写に行きました。
大阪市西成区釜ヶ崎にある施設「こどもの里」の物語です。寝泊りする子だけではなく、学校帰りに遊びに来る子や一時的に宿泊する子、様々な事情から親元を離れている子などが集うにぎやかな場です。「デメキン」と呼ばれる館長を中心に、母の暴力から逃れてきたマサキくん、兄弟に暴力をふるうことをやめて料理人になるという目標にむかって努力するジョウくんなどが、たくさんの仲間と共に助け合い、自分の可能性に開眼していく姿が描かれます。この町出身のSHINGO★西成のラップやライヴ風景も見ることができます。陽気でわかりやすい音楽は、大阪出身でもなく釜ヶ崎に足を運んだこともない自分と、その地の距離を近づけてくれました。
6月11日よりポレポレ東中野、6月中旬、第七藝術劇場ほか全国順次公開。061.gif




by haradakazunori | 2016-04-21 11:02 | 映画

ふたりの桃源郷

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映画「ふたりの桃源郷」の試写に行きました。山口県のローカル放送局である山口放送が開局60周年記念事業として制作した長編ドキュメンタリー映画です。
主人公である田中夫妻のことについて、僕は全く知りません。しかし1979年の映像で当時の年齢に関するテロップが出るので(夫65歳、妻60歳)、2016年の時点でもう彼らは生きていないのだな、ということはわかります。そして僕はすぐに、「この映画で自分たちは、彼らが老いて死ぬまでを見ていくのかも」とも思いました。
夫妻はその1979年に、長く住んでいた大阪を離れ、戦後しばらく住んでいた“山”に戻ります。そして自給生活を始めます。当時は驚くほど元気です。ねぐらにしている小型バスの中で、一緒の布団に入って就寝するシーンには、試写会場から笑いがもれるほどでした。しかし2000年を過ぎると(ふたりとも80歳を超えています)、夫は健康を害し、妻は物忘れがひどくなってきます。夫が93歳で亡くなった後も、妻はそれに気づかず、最晩年には寝たきりに。娘夫婦が献身的な看護をします。妻が亡くなった後、残された人々がどう“山”を守っていくか、そこも見どころです。
たしかに「ひとの家族の話」ではあります。ですが、この映画を見た方は、まず必ず登場人物の誰かに自らや親や子供を重ね合わせ、いつしか自分がストーリーの中にいるような気分になるのではないでしょうか。5月14日から東京・ポレポレ東中野、6月11日から山口県内5館で公開。061.gif






by haradakazunori | 2016-04-14 09:55 | 映画

ディストラクションベイビーズ

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映画「ディストラクションベイビーズ」の試写に行きました。見たことのないタイプの映画でした。監督・脚本は真利子哲也(脚本は喜安浩平と共同)。
真利子氏の作品を初めて見たのは忘れもしない、2011年の9月のこと。場所は水戸芸術館ACM劇場、作品は「NINIFUNI」です。車で延々移動するところ、コンビニで休憩するところ、厳しさを感じさせる冬の海の色など、いろんな場面を思い出します。まだ大きくブレイクする前の、ももいろクローバー(いわゆる無印時代)を起用している着眼点もすごいと思いました。その日は上映の後、ももいろクローバーZのライヴがありました。途中、すりばち状の会場がグワッと揺れました。余震です。
「ディストラクションベイビーズ」の主人公、芦原泰良を演じる柳楽優弥は、とにかくいきなり人を殴って殴って殴りまくります。相手に殴り返されて、血だらけになっても、さらに殴りに立ち向かっていきます。拳で殴るときの、低く沈んだ“ゴンッ”という音がリアリティを倍増させます。最初、彼から逃げていたのに、あることがきっかけで歩み寄って事件に深くかかわっていく高校生には菅田将暉が扮し、ほかにも那奈役の小松菜奈、主人公の弟を演じる村上虹郎らがストーリーの中で重要な役割を示します。連続ぶん殴りと“みこしかつぎ”の因果関係も、相当に奥深いテーマとして見る者につきつけられてきます。ライブハウス「サロンキティ」や、ひめキュンフルーツ缶、ナノキュンなどが出るシーンがあるのも個人的に高まりました。
サウンドトラックはZAZEN BOYSの向井秀徳が担当。ロックというよりフリー・ジャズ的な音で画面をかき乱します。5月21日から、テアトル新宿など全国ロードショー。061.gif






by haradakazunori | 2016-03-27 11:46 | 映画

エルヴィス、我が心の歌

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映画「エルヴィス、我が心の歌」の試写に行きました。“エルヴィス”とは、もちろんエルヴィス・プレスリー(1977年に42歳で死去)のこと。ジョン・マキナニー扮する主人公カルロスは、日中は工場で働きながら、夜になるとジャンプ・スーツを着てエルヴィスへのトリビュート・ライヴをしています。妻の名はプリシラ、娘の名はリサ・マリー。ピーナツバターとバナナをはさんだパンを食べ、インコ(オウム?)に“エルヴィス”という言葉を教え込みます。
エルヴィスに憧れてはいても、エルヴィスになれるわけではありません。エルヴィスに会いたくても、彼はもう亡くなっています。ライヴのギャラ未払い、工場での冷たい対応、別居中の妻と娘が交通事故にあったこと・・・それらの後、42歳になろうとしていたカルロスは憧れのメンフィス「グレイスランド」(エルヴィスの住居で、今は一般公開されている)に行きます。警備員の目をかいくぐり、立ち入り禁止エリアで一夜を過ごした彼が選んだ道は、この世を離れ、エルヴィスと同じ世界に旅立つことでした。
それは悲しくも切ないエンディングですが、20世紀音楽に魅せられたファンなら、ほとんどのひとが“あの世の方が楽しそうだな、だって面白い人はほとんど死んでしまったし”と思った経験があるはずです。そんなひとにこそ見てほしい映画です。劇中のエルヴィス・ソングは、プロの歌手であるカルロス(ジョン)自ら歌っています。監督はアルマンド・ボー(「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」の共同脚本者)、5月28日から渋谷ユーロスペース他全国順次公開。060.gif






by haradakazunori | 2016-03-18 11:48 | 映画

コップ・カー

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ジョン・ワッツ監督、ケヴィン・ベーコン主演「コップ・カー」の試写に行きました。タイトルは「おまわりの車=パトカー」という意味です。
物語は、(おそらく覚えたばかりの)下ネタをキャッキャキャッキャと言い合うふたりの男の子の場面から始まります。彼らは荒野に置いてあったパトカーに興味を持ち、ドアを開け、道を走り出します。そのパトカーはケヴィン扮する悪徳保安官のもの。山と空が無限に広がるコロラド州の長閑な風景と、ピストルの撃ち合いや子供の誤射によってもうひとりの子供が息絶える場面などが深いコントラストを描きながら、約90分という、とてもおさまりのよい時間を作り出します。
4月9日からヒューマントラストシネマ渋谷にてロードショー、ほか全国順次公開。066.gif





by haradakazunori | 2016-02-07 11:24 | 映画

クリード チャンプを継ぐ男

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クリード チャンプを継ぐ男」の試写に行きました。世界で最も有名なボクシング映画シリーズといっていいでしょう「ロッキー」の、スピンオフ作品です。
今回の主役はなんと、“アポロ・クリード”の息子です。アポロはかつてのロッキーの対戦相手で、盟友でしたが、リングの上でこの世を去ってしまいました。今回登場する息子のアドニスは、そのアポロと愛人の間に生まれた子供です。
子供の頃から腕力に自身の合ったアドニスは父親の試合映像を見てボクシングに開眼、カリフォルニアを出てロッキーが住むフィラデルフィアに向かい、自分のトレーナーになってほしいと依頼します。途中、歌手の彼女ができたりしながら、迫真の練習や試合のシーン、怒涛のエンディングまで約135分間を駆け抜けます。
アドニスに扮する若手俳優のマイケル・B・ジョーダンは、この作品で確固たる評価を手にすることでしょう。またシルベスター・スタローンはゴールデン・グローブ賞の助演男優賞にノミネートされています。
監督と脚本はライアン・クーグラー。12月23日より新宿ピカデリー、丸の内ピカデリー他全国お正月ロードショー。
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by haradakazunori | 2015-12-18 11:05 | 映画

猫なんかよんでもこない。

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映画「猫なんかよんでもこない」(山本透監督、風間俊介主演)の試写にいきました。ヒット中の同名漫画の実写版といっていいでしょう。ボクサーから漫画家に転向した主人公は、そのまま原作の杉作氏がモデルになっています。
猫は常に人気があって、最近では第何次かの猫ブームなのか、その人気がさらにとんでもなく盛り上がっている気がします。猫が出てくる映画やTVコマーシャルもずいぶん増えたように思いますが、「猫映画のほとんどは、前宣伝ほどには猫が出てこない。人間なんかどうでもいいから、とにかく猫をもっと出せ!」というのが、いろんな猫映画を見に行っては肩透かしを食らってきた僕の正直な感想です。
しかしこの映画は、うならせてくれます。猫含有量が多いのです。猫を商売のツールとして扱っていません。出演者やスタッフに猫好きが集っているんだろうなあ、と、容易に想像できるのです。「ニャー」だけではなく「シャー」や「ゴロゴロ」まで聴けるのもうれしいものです。
来年1月30日から、TOHOシネマズ新宿ほか全国公開。061.gif




by haradakazunori | 2015-11-11 07:50 | 映画

「放射線を浴びたX年後 2」

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映画「放射線を浴びたX年後 2」(監督・伊東英朗)の試写に行ってきました。
前作「放射線を浴びたX年後」を故郷の高知県室戸市で見た女性は、36歳の若さで急逝した元漁師の父親の死についての疑問を確かにします。女性が厚労省へ情報開示請求をしたところ、父親の乗っていた漁船は3度、“死の灰を浴びた魚”を廃棄していたことが明らかになりました。やはり高知出身で漁師の父親を持つ漫画家の和気一作も、若くして亡くなった父親の死に疑問を感じます。「病室での父は、死臭がした。葬儀の時、骨はボロボロだった。それはなぜか」。これが縦軸です。
アメリカが太平洋上で約100回もの核実験を始めたのは、日本敗戦の翌年にあたる1946 年からです。そこで初めて使われた(それ以前は地球に存在しなかった。つまり日本に爆弾として落とされていない)セシウム137が、どうして日本の1960年代初頭に建てられた家屋の軒下から検出されたのか? これが横軸です。
女性が元漁師たちを訪ね歩き、話をきくシーンにも胸が詰まりました。「粉が降り積もって海が真っ黒になった」という発言には悪寒がしました。ぜひ見て、感じていただけたらと思います。11月7日から20日まで愛媛・シネマサンシャイン大街道、11月21日から12月11日まで東京・ポレポレ東中野で公開。061.gif




by haradakazunori | 2015-10-21 10:47 | 映画

NORIN TEN~稲塚権次郎物語

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映画「NORIN TEN~稲塚権次郎物語」の試写にいきました。
稲塚権次郎氏の名前、恥ずかしながら、この映画で初めて知りました。「NORIN TEN」は、小麦の一種の海外での名前。それを育種したのが稲塚氏なのです。1897年、富山県生まれ。1919年に秋田で「水稲農林1号」(コシヒカリの原型)を育成し、その後、「寒さに強く、おいしく、たくさん獲れる小麦」の育成に取り組み「小麦農林10号」を生み出しました。今では世界の小麦の70%以上の基となっているとのことです。
「農の神」と呼ばれる稲塚氏に扮したのは、仲代達矢(老年期)と松崎謙二(青年~中年期)。「学者肌の人間の生涯を描いたマニアックな映画なのではないか」という危惧が吹き飛ぶ内容であり、稲塚権次郎を知らないひとにも強くアピールすること間違いなしの内容です。と同時に、植物についての知識や関心が増すことも保証できます。益岡徹、藤田弓子など助演陣も見事です。監督と脚本は稲塚秀孝(権次郎は祖父の従兄にあたるとのこと)。
9月19日から有楽町スバル座にて公開。068.gif




by haradakazunori | 2015-08-28 10:42 | 映画

私たちのハァハァ

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映画「私たちのハァハァ」(監督・松居大悟)の試写にいきました。「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2015」で二冠を受賞した作品です。
九州の女子高生4人がバンド“クリープハイプ”のライブを見るために、自転車やヒッチハイクやバスで東京に向かう、という筋書きです。もちろんその中にいろいろな展開がありますし、「東京に見に行く」と言う展開にも伏線があるのですが、ぼくはエンド・クレジットが出るまで、この映画に登場する4人は実際に九州の高校に通っている親友同士なのだと思い込んでいました(ぼくは試写にしてもCDの試聴にしても、事前に一切の資料を見ません)。実のところはオーディションで歌手や女優の方が選ばれて組み合わされたようですが、なんというか、喧嘩するシーンまで4人の呼吸がすごく合っているのです。ドキュメンタリーを見ているような気分になりました。この4人が並んだ姿を映画だけにとどめておくのはもったいない、バンドを組んでほしいと思いました。
9月12日からテアトル新宿で一般公開。061.gif




by haradakazunori | 2015-08-05 10:09 | 映画

音楽ライター/ジャーナリスト、原田和典のブログです。
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