「原田和典 ブログ人」

カテゴリ:映画( 57 )




サラダデイズ

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映画「サラダデイズ」の試写に行きました。
1980年代のワシントンD.C.での初期パンク・シーンに迫ったドキュメンタリーです。ワシントンDCといえば個人的には「ブラック・ミュージックの都」でもあります。パーラメントが“チョコレート・シティ”と歌った都市、チャック・ブラウンらGO-GOの産地、ジャズ・クラブ「ブルーズ・アリー」や黒人学校であるハワード大学のある都市でもあります。
そこの地元パンク。ニューヨークの、触っただけでこちらの血が吹き出そうな切迫感とはまた異なる、だけどスピード感とヤバサ満点のパンク・バンドの数々が、貴重な映像やインタビューを通じて紹介されます。「マイナー・スレット」「フガジ」「バッド・ブレインズ」など、気持ちいいパフォーマンスの連続。もちろんブラック・ミュージックとの関係についても触れられています。名門レーベル“Dischord”の諸作のジャケット・デザインのかっこよさ、そのジャケ写と音のシンクロ具合に、ぼくはブルーノート・レコードの1500番台や4000番台初めの頃にある様式美と統一感を覚えました。
監督のスコット・クロフォードは12歳からD.C.パンクシーンに親しみ、ファンジン「メトロジン」を創立、ミュージシャンで音楽評論家を続けているという筋金入りのパンク者。愛のある作品は、見ていて本当に気持ちのいいものです。
「サラダデイズ」というタイトルは、マイナー・スレットの代表曲からきていますが、なにしろこのタイトルなので、勘違いして、ヘルシーな生活を心がけている人や野菜ソムリエにもたくさん見に来てほしいと思います。その誰もが、「勘違いしてよかったなあ」と思い、一気にパンクのファンになるはずです。こんなに心をかき乱す音楽は、そうないのですから。10月1日から新宿K’s cinemaで公開。061.gif




by haradakazunori | 2016-09-05 09:20 | 映画

ブルーに生まれついて

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映画「ブルーに生まれついて」(監督・脚本 ロバート・バドロー)の試写に行きました。ジャズ・トランペット奏者/歌手のチェット・ベイカーを題材としたドラマです。
チェットには、大の音楽好きとしても知られるイーサン・ホークが扮します。彼はこの映画のためにトランペットを練習し(音はプロ・ミュージシャンの吹き替えですが)、ヴォーカル・レッスンを受けました。物語の主体となるのは「チェットが麻薬がらみのトラブルによってギャングから殴られて前歯を失いアゴを損傷してから、ディジー・ガレスピーの尽力でによってニューヨークのジャズ・クラブで復活公演をするまで」です。これが縦軸だとすれば、横軸には(まだそんなに売れていない)女優との恋物語があります。マイルス・デイヴィスへの複雑な感情もまた、見どころのひとつでしょう。
チェット本人のパフォーマンスは一切使われていませんが、カナダ人ミュージシャンによるプレイ(トランペットはケヴィン・ターコット、音楽監督はピアニストのデヴィッド・ブレイド)は“極上”です。11月26日から渋谷Bunkamuraル・シネマ、角川シネマ新宿他にてロードショー。061.gif





by haradakazunori | 2016-08-29 08:07 | 映画

エブリバディ・ウォンツ・サム!!世界はボクらの手の中に

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映画「エブリバディ・ウォンツ・サム!!世界はボクらの手の中に」の試写に行きました。
監督は、「6才のボクが、大人になるまで。」の大ヒットが記憶に新しいリチャード・リンクレイター。今回の時代背景は1980年に設定し、場所は米国テキサスです。南東テキサス州立大学に野球推薦で入ることになった主人公・ジェイク(ブレイク・ジェナー)と、やはり野球の腕に覚えのある連中があれやこれやと繰り広げる青春群像劇といったところでしょうか。ドライブ、女性、アルコール、ダンスパーティ、ドラッグ・・・・ザ・ナック「マイ・シャローナ」、パーラメント「ギヴ・アップ・ザ・ファンク」、フランク・ザッパ「スリープ・ダート」、ヴァン・ヘイレン「エブリバディ・ウォンツ・サム」など、“よくぞこんなに良い曲を”と驚くような楽曲が次々と流れる中、若さをぶちまけるように物語が進みます。
「新学期に入る前の3日と15時間」の物語は、あっという間に過ぎます。しかしその間にジェイクはしっかり彼女をつくります。彼の奮闘、そして全米各地から集まった(であろう)仲間との奇妙な友情。面白いです。11月より新宿武蔵野館他にて全国順次公開されます。061.gif




by haradakazunori | 2016-08-23 10:28 | 映画

シーモアさんと、大人のための人生入門


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映画「シーモアさんと、大人のための人生入門」の試写に行きました。監督はイーサン・ホーク。“シーモアさん”とはニューヨークに住むピアノ教師シーモア・バーンスタインのことです。1927年に生まれ、ナディア・ブーランジェ等に師事。プロのクラシック・ピアニストとして活動した後、50歳で教師に転向しました。イーサンは「シーモアのピアノ・レッスンは、人はいかに生きるべきかということにもつながる奥深い教えに満ちている」といいます。
シーモアは指導者であり、ひとのうえにたつひとです。山の頂点にいて、裾野にいるひとをひきあげようとします。ゆえに「上から目線」ですが、これは年長者、しかも教師であるがゆえに避けられないことなのかもしれません。しかし言葉や物腰はあくまでも優しく、イーサンがだんだんこの指導者にひきつけられていく様子も映画は克明に捉えています。シーモアがエンディングで聴かせるソロ・ピアノも実に美しいです。2016年9月下旬、シネスイッチ銀座、渋谷アップリンクほか全国順次ロードショー。061.gif





by haradakazunori | 2016-07-26 09:52 | 映画

イレブン・ミニッツ

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映画「イレブン・ミニッツ」の試写に行きました。カンヌ、ベネチア、ベルリンの国際映画祭の主要賞を制覇したイエジー・スコリモフスキ監督が放つ最新作です。個人的には「エッセンシャル・キリング」の監督として心に深く刻み込まれています。主演はリチャード・ドーマー、ヴォイチェフ・メツファルドフスキ等。
この新作ではタイトル通り、夕方5時00分から5時11分にかけての物語(人間模様といえばいいでしょうか)が描かれています。ラストシーンが本当にすごいです。四方八方に散らばっていた点が一か所にまとまり、それがスローモーションでだんだんクローズアップされていく感じです。とにかくこのラストを見るだけで、それまでの数十分間を見ているうちに生まれた謎や疑問が氷解するのです。これは面白い、あっぱれです。8月20日からヒューマントラストシネマ渋谷、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開。061.gif





by haradakazunori | 2016-07-16 10:17 | 映画

聖なる呼吸 ヨガのルーツに出会う旅

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映画「聖なる呼吸 ヨガのルーツに出会う旅」(監督:ヤン=シュミット・ガレ)の試写に行きました。ヨガの魅力に惹かれたばかりの(つまり初心者である)監督がインドに向かい、“近代ヨガの父”T.クリシュナマチャリアの功績をたどり、その弟子であるB.K.S.アイアンガーやK.パタビジョイスらに取材。監督のヨガへの深い関心と、師匠のことをあけすけに語る(ほめてばかりではありません)弟子たちの回想が見どころ、という印象を受けました。それにしてもヨガの達人たちの関節の動きは、信じがたいほど柔軟です。
日本ヨガ界の第一人者であるというケン・ハラクマによる字幕監修もとてもわかりやすく、ヨガにまったく詳しくない僕も楽しく見ることができました。9月3日からYEBISU GARDEN CINEMA、9月10日から渋谷アップリンク、ほか全国順次公開。061.gif




by haradakazunori | 2016-07-14 10:09 | 映画

モンスター・ハント

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映画「モンスター・ハント」(オリジナル・タイトル「捉妖記」)の試写に行きました。妖怪アクションファンタジーの傑作といえばいいでしょうか。中国歴代興行成績No.1を確立したそうですが、それも納得できます。監督はラマン・ホイ、特撮顧問はジェイソン・H・スネル、美術総監督は種田陽平。出演はバイ・バイホー、ジン・ボーラン他。
時代背景は「大昔」に設定されています。当時、人間と妖怪は共存していました。しかし人間が偉ぶり出して天下を独占、妖怪は山奥へ追いやられ、その妖怪の世界でも内乱が起きます。紆余曲折があり、王子を身ごもっていた妖怪王妃は人間男性に子供を託します(どうやって託したかはぜひ映画をご覧ください)。男性は妊娠を経て無事“出産”、大根にそっくりな妖怪の男の子を授かります。とはいえ妖怪は妖怪、人間とはうまくいかないと感じた男性とその知り合いの女性(この時点ではまだ恋仲ではない)は、とある質屋に妖怪を売り渡すのですが・・・。
分かりやすい展開、CGの面白さ、妖怪の生き生きとした動き。言葉の壁を超えて、親子でも楽しめるのではないかと思います。8月6日からシネマート新宿ほか全国順次ロードショー。061.gif






by haradakazunori | 2016-06-23 09:17 | 映画

シング・ストリート 未来へのうた

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映画「シング・ストリート 未来へのうた」の試写に行きました。監督は「ONCE ダブリンの街角で」や「はじまりのうた」のジョン・カーニーが務めています。
すごく面白いです。音楽好きなら、セリフのいろんなところにニヤリとすると思います。「青春デンデケデケデケ」や「リンダリンダリンダ」の1980年代・アイルランド編という感じでもあります。
主人公の少年(フェルディア・ウォルシュ・ピーロ)は、学費の安い公立高校に転校します。アイルランド・ダブリンを襲った大不況によって、父親が職業を失ったからです。その高校は暴力喫煙なんでもありの世界。授業など誰も聞いていません(日本で「校内暴力」が話題になった時期と、ほぼ重なります)。少年の心の支えとなったのは「トップ・オブ・ザ・ポップス」というテレビの音楽番組でした。デュラン・デュランのミュージック・ビデオを見て、彼は感銘を受けます。
同時に彼は、モデルを自称する、ある年上の女性(ルーシー・ボイントン)のことがとても気になっていました。“僕のバンドのミュージック・ビデオに出ないか?”、まだバンドを作ってもいないのに少年は彼女に声をかけ、連絡先を手に入れます。
それからバンドを組むために仲間を集め、バンド名“シング・ストリート”を決め、練習し、オリジナル曲をつくり、ビデオを撮影し・・・という展開は、とても歯切れよく進みますが(1曲を仕上げるだけでもとんでもなく大変で、メンバー同士の確執や対立もあって・・・・というのが大半の現実だと思いますが、そんなのを映画でわざわざ見たくもないでしょう)、それと同時に少年の片思いが両思いに少しずつ変化していくことも大きな見どころです。
「僕は彼女と一緒にロンドンに行きたい。だけどそうするとバンドはどうなる?」。主人公の問いにバンド仲間が答えます。「先にロンドンに行ってバンドを売り込んでくれ。僕たちをこの町からひきあげてくれ」。
主人公は大のロック好きである兄の応援を得て、小さなモーターボートで彼女とふたり、海を渡ります。突然の大雨でびしょびしょになる途中で物語はエンディングへ向かいます。大海に飲み込まれたのか、それとも無事にロンドンに到着してレコード契約がとれたのか、それは見る者それぞれ想像すればいいのです。
“シング・ストリート”のオリジナル曲の作詞作曲はゲイリー・クラーク(かつてスコットランドのバンド“ダニー・ウィルソン”にいた)が担当。これまたポップで親しみやすく、とにかく物語にも映像にも音質にも、80年代ブリティッシュ・サウンドへの愛が溢れた作品という印象を受けました。バンド経験のある方は必見です。
7月9日ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷シネクイントほか全国順次ロードショー。061.gif




by haradakazunori | 2016-06-02 08:50 | 映画

ミスター・ダイナマイト

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ドキュメンタリー映画「ミスター・ダイナマイト ファンクの帝王ジェームス・ブラウン」の試写に行きました。脚本・監督・総指揮はアレックス・ギブニー、プロデューサーの一人はミック・ジャガーです。
行く前から心が弾みます。なぜならブラウンは忌野清志郎とならんで、ぼくの人生を決定づけた音楽家のひとりだからです。5歳の時、土曜の夜に放送されていたテレビ番組「ソウル・トレイン」に感激してから今までずっと、ぼくはブラウンに惚れ込んでいます。どんなことがあっても毎日、少なくとも1分間は彼のことを考えてしまいます。この映画を見る(見た)日は寝ている時もブラウンのことを考えていました。
映画は貴重な映像と、ありがたいインタビューのてんこもりです。ボビー・バード(2007年逝去)、メイシオ&メルヴィンのパーカー兄弟、ピー・ウィー・エリス、フレッド・ウェスリー、ブーツィ・コリンズ、クライド・スタブルフィールド、ジョン・ジャボ・スタークス、マーサ・ハイ、ダニー・レイら共演者の証言は、ひたすら生々しく、「ファンキー・ドラマー」誕生のエピソードには笑わずにいられません。ブラウン・チルドレンといっていいであろうクリスチャン・マクブライドやクエストラブは音楽的な分析を加え、アラン・リーズ(もとツアー・マネージャーで、今では世界一のブラウン研究家だと思います)やミック・ジャガーの発言も作品に重みを加えています。和製英語「マント・ショウ」の“マント”をしっかり英語通り“ケープ”と紹介していた字幕にも好感が持てました。
ライヴ・シーンではファンには有名な1968年ボストン、71年パリ、66年エド・サリヴァン・ショウ、64年T.A.M.I.ショウがフィーチャーされています。影響を受けた音楽家の映像としてルイ・ジョーダン、デューク・エリントン(サックスはジョニー・ホッジスではなくウィリー・スミス)、カウント・ベイシーらがほんの数秒ですが登場するのもうれしいものです。そのほか、アメリカの情勢とのかかわりを示す映像もたっぷりです。「ニクソンを支持して黒人からの支持が減った」「実業家としては失敗した」「給料はもらったが、レコーディングのギャラはゼロ」など、たんなる“絶賛映画”に終わっていない描写があるのも、監督の確かな視点を感じさせてくれました。そしてキャットフィッシュ・コリンズ、ウェイマン・リード、セント・クレア・ピンクニー等、今は亡きミュージシャンの雄姿に見とれてしまいました。
6月18日より角川シネマ新宿、渋谷アップリンク、吉祥寺オデヲンほか全国順次ロードショー。061.gif




by haradakazunori | 2016-04-28 10:20 | 映画

さとにきたらええやん

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映画「さとにきたらええやん」(重江良樹監督)の試写に行きました。
大阪市西成区釜ヶ崎にある施設「こどもの里」の物語です。寝泊りする子だけではなく、学校帰りに遊びに来る子や一時的に宿泊する子、様々な事情から親元を離れている子などが集うにぎやかな場です。「デメキン」と呼ばれる館長を中心に、母の暴力から逃れてきたマサキくん、兄弟に暴力をふるうことをやめて料理人になるという目標にむかって努力するジョウくんなどが、たくさんの仲間と共に助け合い、自分の可能性に開眼していく姿が描かれます。この町出身のSHINGO★西成のラップやライヴ風景も見ることができます。陽気でわかりやすい音楽は、大阪出身でもなく釜ヶ崎に足を運んだこともない自分と、その地の距離を近づけてくれました。
6月11日よりポレポレ東中野、6月中旬、第七藝術劇場ほか全国順次公開。061.gif




by haradakazunori | 2016-04-21 11:02 | 映画

音楽ライター/ジャーナリスト、原田和典のブログです。
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