「原田和典 ブログ人」

カテゴリ:映画( 44 )




まるでいつもの夜みたいに

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映画「まるでいつもの夜みたいに」(監督・撮影・編集 代島治彦)の試写に行きました。フォークシンガー、高田渡さんの東京におけるラストライヴを捉えた作品です。収録日は2005年3月27日、高円寺の居酒屋「タイフーン」にて。もう12年も昔のことです。テレビはまだブラウン管、愛知万博が開幕しようとしていて、「冬のソナタ」などの韓流ブームがあり、福岡ソフトバンクホークスが生まれた年。しかし音楽はもちろん、画面や街並みにも歳月の流れは感じられません。
1つのカメラで下手側から撮影していますが、1か所からしか撮ってないということが、さらにまたライヴ感を高めます。自分が下手側の席に座って、高田さんの実演をかぶりつきで体験しているような気になるのです。曲目は「失業手当」、「ごあいさつ」、「コーヒーブルース」、「ブラザー軒」などなど。「生活の柄」ではなく、「夕暮れ」で締めくくられます。フィンガーピッキングによるギターの音色、曲間にはさまるひょうひょうとしたしゃべり、観客とのやりとり(端っこにいる小さな女の子は、いまでは高校生ぐらいでしょうか)。今もどこかでライヴを続けているのではないだろうか?と思わずにいられません。
4月29日よりアップリンク渋谷にてGWロードショー、5月13日より横浜シネマリン、5月下旬よりココロヲ・動かす・映画館(4/15吉祥寺に開館)にて公開予定。また4月16日に青山CAYで行なわれる高田渡トリビュートライヴでも先行上映されます。060.gif





by haradakazunori | 2017-03-09 10:14 | 映画

oasis FUJI ROCK FESTIVAL'09

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oasis FUJI ROCK FESTIVAL'09」の試写に行きました。2009年7月24日のライヴです。もう8年近く前の収録です。信じられません。この約1か月後、ノエル・ギャラガーが脱退を表明し、バンドは終焉を迎えました。
MCは短いメンバー紹介程度、どんどん楽曲を続けていきます。リアム・ギャラガーは時々タンバリンを口にくわえ、うしろに腕を組んで、上唇をマイクにつけるようにしてうたいます。「Rock 'N' Roll Star」の迫力、ノエルが歌う「Don't Look Back in Anger」におけるミュージシャンと観客の一体感。ラストはビートルズの「アイ・アム・ザ・ウォルラス」です。「ノエルとリアムが一緒のフレームに収まって動いている」ということも、今となっては歴史的事件なのだ、と思います。大雨が降りしきる中、旗を振ったり合唱したりする超満員の観客も、臨場感を高めます。
「あのときはこうだった」というような関係者の懐古的な談話もなく、「今にして思えば」的な編集もなく、ようするに、フジロックのオアシスのパフォーマンスを淡々と、余計なものを一切加えず、しかし卓越したカメラ・ワークと音響で捉えているだけですが、この(ある意味)そっけなさにも好感が持てました。ぼくは一度もオアシスのライヴに足を運ぶことなく終わってしまったので、本当にありがたいものを見たという感じです。3月4日から、新宿ピカデリーほか全国の劇場で期間限定上映されるほか、一部劇場では2週間上映が予定されています。061.gif







by haradakazunori | 2017-02-05 10:53 | 映画

サクロモンテの丘

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映画「サクロモンテの丘 ロマの洞窟フラメンコ」の試写に行きました。監督はチュス・グティエレスです。
「サクロモンテ」とはスペイン・アンダルシア地方のサクロモンテ地区のこと。ここにかつてロマたちが集い、ロマとイスラムの文化が融合し、「洞窟フラメンコ」が生まれました。しかし63年にカルメン・アマジャが亡くなり、その後さらに水害が起こり、そこに住んでいたひとたちは住む場所を追われました。
この映画はサクロモンテの歴史を、数々の関係者へのインタビューで構成したものです。案内役はフラメンコ界のアイコン的人物であるクーロ・アルバイシン。ダンサーのラ・モナ、ライムンド・エレディア、ギタリストのペペ・アピチュエラ、歌手のニーニョ・デ・オスナ等が登場するだけではなく、往時の貴重な写真もたっぷり紹介されます。
ロマへの差別のせいでしょうか、かつては地図にさえ載せられていなかったというサクロモンテ地区。ぼくはフラメンコには決して詳しくないですが、それでも、とてもわかりやすく、見ごたえのある作品だと感じました。ラストに登場するライヴも大迫力です。
2月18日、有楽町スバル座、アップリンク渋谷ほか全国順次公開予定。061.gif




by haradakazunori | 2017-01-26 10:54 | 映画

SUPER FOLK SONG~ピアノが愛した女。~

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矢野顕子が1992年に発表したカヴァー・アルバム『SUPER FOLK SONG』には、制作過程を撮影したドキュメンタリー・フィルムもあります。それが約25年ぶりにデジタル・リマスターのうえ、再び劇場公開されることになりました(監督は故・坂西伊作)。
画像はモノクロ。矢野顕子はアコースティック・ピアノを弾き語りし、ときにレコーディング・ブースで自身の演奏を聴き返しながら、音楽する喜びや創造の苦しみをあけっぴろげに表現していきます。個人的には指ならしのところでパット・メセニーやエディ・ハリスのジャズ曲を演奏しているところにも興味をひかれましたし、名エンジニア・吉野金治や当時のマネージャー、デヴィッド・ルービンソンの姿を見ることができたのも嬉しいものです。ぼくはフォーク~ニュー・ミュージックに関してまだまだ認識不足ので、原曲がどういう楽想になっているのかは不勉強にして知りません。ですが、矢野顕子がそれらの楽曲に、ものすごく幻想的なハーモニーやリズムをつけ、自身の世界に染め上げていることはしっかり伝わりました。
「ああ、四半世紀も前なのだなあ」と思うところは、テープがまわっていることぐらい。音楽は新鮮そのものです。2017年1月6日から、新宿バルト9ほか全国の劇場で15日間限定ロードショー。061.gif





by haradakazunori | 2016-12-12 10:49 | 映画

ブラインド・マッサージ

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映画「ブラインド・マッサージ」の試写に行きました。監督はロウ・イエ、原作はビー・フェイユィによる中国のベストセラー小説。原題は「推拿」といいます。第64回ベルリン映画祭で銀熊賞を受賞、台湾の第51回金馬奨では作品賞を含む6冠、第9回アジア・フィルム・アワードで作品賞と撮影賞を獲得しています。
舞台は南京にある盲人マッサージ院。「いつか見えるようになる」と言われ続けたことが嘘であることがだんだんと分かってきたシャオマー、見合いを繰り返すもののうまくいかない院長のシャー、客から「美人」と言われるが自分では何のことだかわからない(見えないので)ドゥ・ホンが開始3分の1ぐらいの時間、強烈な存在感を印象付けます。そしてシャーの同級生のワンと、その若い恋人のコンがマッサージ院に転がり込んできます。シャオマーはコンに関心を示しますが、それに気づいた同僚は彼を風俗店に誘います。そこで風俗嬢マンと出会い、シャオマーは・・・
複雑で濃密な人間関係、ぼかしや揺れを多用した画像、生々しさにあふれたセリフや行動。どこかの国のどこかのドラマのように、disabledsを天使のように扱ったり神聖化したりしていません。目が見えようと見えなかろうと同じ人間なのです。優しくマッサージするというよりは、こちらの感覚に鋭いものを突き立ててくる問題作だと思います。ぜひ体験してほしい作品です。2017年1月14日より、アップリンク渋谷、新宿K’s Cinemaほか全国順次公開。061.gif





by haradakazunori | 2016-12-10 10:10 | 映画

エヴォリューション

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フランス映画「エヴォリューション」の試写に行きました。監督・脚本はルシール・アザリロヴィック。物語の鍵を握るのは10歳の少年ニコラ(マックス・ブラバン)、その母親(ジュリー=マリー・パルマンティエ)、ステラ(ロクサーヌ・デュラン)です。
ニコラは、少年と女性しかいない人里離れた島で母親と暮らしています。その島には何とも奇妙な病院があり、そこに住むすべての少年が医療行為の対象になっています。異変に気付き始めた二コラは、夜半に出かける母親の後をつけました。すると母親は、海辺でほかの女性たちと「ある行為」していました。それがなんなのか、探ろうとしたニコラは・・・。
これは怪奇小説なのか、母の愛を渇望する物語なのか。耽美的な映像と、セリフを極限まで抑えた演出が見る者を引きずり込みます。映画祭で上映されるや否や「初期クローネンバーグを思わせる!」「ルイス・キャロル、グリム兄弟、アンデルセンの死体を掘り起こした」等、大きな反響を巻き起こしたとのことですが、100人いれば100通り、1000人いれば1000通りの感想が出る作品という印象を受けました。つまり、見て感じるしかないのです。
「エヴォリューション」(進化)とは、果たして何を意味するのか? 11月26日から渋谷アップリンク、新宿シネマカリテ(モーニング&レイト)ほか全国順次公開。061.gif





by haradakazunori | 2016-11-10 11:22 | 映画

ニーゼと光のアトリエ

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映画「ニーゼと光のアトリエ」の試写を見に行きました。
音楽はチェロ奏者のジャキス・モレレンバウンが担当。暖かなチェロの音色がフィーチャーされます。また、随所に猫が登場し、名演技を見せてくれるので猫好きの方も要チェックです。
ストーリーの舞台は、ほぼ「精神病院」です。医者が患者を人間扱いせず、電気によるショック療法が最も有効とされていた時代(1940年代)の物語です。ジャズ・ピアニストのバド・パウエルが何度もこの療法を受けた結果、どうなったかを思い出す音楽ファンもいらっしゃることでしょう。
主人公のニーゼ・ダ・シルヴェイラは実在の医師です。映画ではブラジルを代表するベテラン女優、グロリア・ピレスが扮しています。精神病院で働くことになったニーゼは、その病院が当たり前にやっていた暴力的な治療に疑問を感じます。夫からプレゼントされたユングの著作にインスピレーションを受けた彼女は、患者たちに絵の具と筆を与えました。結果、彼らの表情には喜びが戻り、その作品は美術評論家からも高く評価されました。ラストにはニーゼ本人の晩年の映像も挿入されます。
監督はホベルト・ベリネール。2015年の第28回東京国際映画祭コンペティション部門では、東京グランプリと最優秀女優賞を受賞した作品です。12月17日より渋谷ユーロスペースほか全国順次公開。061.gif






by haradakazunori | 2016-10-19 11:31 | 映画

サラダデイズ

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映画「サラダデイズ」の試写に行きました。
1980年代のワシントンD.C.での初期パンク・シーンに迫ったドキュメンタリーです。ワシントンDCといえば個人的には「ブラック・ミュージックの都」でもあります。パーラメントが“チョコレート・シティ”と歌った都市、チャック・ブラウンらGO-GOの産地、ジャズ・クラブ「ブルーズ・アリー」や黒人学校であるハワード大学のある都市でもあります。
そこの地元パンク。ニューヨークの、触っただけでこちらの血が吹き出そうな切迫感とはまた異なる、だけどスピード感とヤバサ満点のパンク・バンドの数々が、貴重な映像やインタビューを通じて紹介されます。「マイナー・スレット」「フガジ」「バッド・ブレインズ」など、気持ちいいパフォーマンスの連続。もちろんブラック・ミュージックとの関係についても触れられています。名門レーベル“Dischord”の諸作のジャケット・デザインのかっこよさ、そのジャケ写と音のシンクロ具合に、ぼくはブルーノート・レコードの1500番台や4000番台初めの頃にある様式美と統一感を覚えました。
監督のスコット・クロフォードは12歳からD.C.パンクシーンに親しみ、ファンジン「メトロジン」を創立、ミュージシャンで音楽評論家を続けているという筋金入りのパンク者。愛のある作品は、見ていて本当に気持ちのいいものです。
「サラダデイズ」というタイトルは、マイナー・スレットの代表曲からきていますが、なにしろこのタイトルなので、勘違いして、ヘルシーな生活を心がけている人や野菜ソムリエにもたくさん見に来てほしいと思います。その誰もが、「勘違いしてよかったなあ」と思い、一気にパンクのファンになるはずです。こんなに心をかき乱す音楽は、そうないのですから。10月1日から新宿K’s cinemaで公開。061.gif




by haradakazunori | 2016-09-05 09:20 | 映画

ブルーに生まれついて

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映画「ブルーに生まれついて」(監督・脚本 ロバート・バドロー)の試写に行きました。ジャズ・トランペット奏者/歌手のチェット・ベイカーを題材としたドラマです。
チェットには、大の音楽好きとしても知られるイーサン・ホークが扮します。彼はこの映画のためにトランペットを練習し(音はプロ・ミュージシャンの吹き替えですが)、ヴォーカル・レッスンを受けました。物語の主体となるのは「チェットが麻薬がらみのトラブルによってギャングから殴られて前歯を失いアゴを損傷してから、ディジー・ガレスピーの尽力でによってニューヨークのジャズ・クラブで復活公演をするまで」です。これが縦軸だとすれば、横軸には(まだそんなに売れていない)女優との恋物語があります。マイルス・デイヴィスへの複雑な感情もまた、見どころのひとつでしょう。
チェット本人のパフォーマンスは一切使われていませんが、カナダ人ミュージシャンによるプレイ(トランペットはケヴィン・ターコット、音楽監督はピアニストのデヴィッド・ブレイド)は“極上”です。11月26日から渋谷Bunkamuraル・シネマ、角川シネマ新宿他にてロードショー。061.gif





by haradakazunori | 2016-08-29 08:07 | 映画

エブリバディ・ウォンツ・サム!!世界はボクらの手の中に

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映画「エブリバディ・ウォンツ・サム!!世界はボクらの手の中に」の試写に行きました。
監督は、「6才のボクが、大人になるまで。」の大ヒットが記憶に新しいリチャード・リンクレイター。今回の時代背景は1980年に設定し、場所は米国テキサスです。南東テキサス州立大学に野球推薦で入ることになった主人公・ジェイク(ブレイク・ジェナー)と、やはり野球の腕に覚えのある連中があれやこれやと繰り広げる青春群像劇といったところでしょうか。ドライブ、女性、アルコール、ダンスパーティ、ドラッグ・・・・ザ・ナック「マイ・シャローナ」、パーラメント「ギヴ・アップ・ザ・ファンク」、フランク・ザッパ「スリープ・ダート」、ヴァン・ヘイレン「エブリバディ・ウォンツ・サム」など、“よくぞこんなに良い曲を”と驚くような楽曲が次々と流れる中、若さをぶちまけるように物語が進みます。
「新学期に入る前の3日と15時間」の物語は、あっという間に過ぎます。しかしその間にジェイクはしっかり彼女をつくります。彼の奮闘、そして全米各地から集まった(であろう)仲間との奇妙な友情。面白いです。11月より新宿武蔵野館他にて全国順次公開されます。061.gif




by haradakazunori | 2016-08-23 10:28 | 映画

音楽ライター/ジャーナリスト、原田和典のブログです。
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