「原田和典 ブログ人」

カテゴリ:映画( 64 )




否定と肯定

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映画『否定と肯定』の試写に行きました。監督は『ボディガード』のミック・ジャクソン、出演はレイチェル・ワイズ、トム・ウィルキンソン、ティモシー・スポール他。イギリス・アメリカの合作です。原題は『DENIAL』(否定)といいます。
ストーリーは実話がベースになっています。ユダヤ系アメリカ人の歴史学者デボラ・E・リップシュタットは、自著『ホロコーストの真実』でイギリスの歴史家デイヴィッド・アーヴィングの唱えている“ホロコースト否定論”を否定しました。そしてある日、デイヴィッドはデボラの講演会に行き、デボラに向かって対決を迫ります。それからいくつもの日々を経て、デボラは「被告」になりました。デイヴィッドが彼女を名誉棄損で訴えたからです。
裁判は原告の地元、イギリスで行なわれました。訴えられた側に立証責任があるという司法制度なので、デボラはホロコースト否定論を崩す必要がありました。デイヴィッドは自分で弁護士も兼ねました。デボラは英国の弁護団と共に、あらためて歴史の真実を見直していきます。そこから裁判、結審までの流れが、一気呵成に描かれてゆきます。
人種差別的なフレーズを交えてシンパの前で扇情的な演説をするデイヴィッドはまるで悪魔が乗り移ったかのようですが、家では子煩悩な父親です。いっぽうのデボラに対しても、決して“正義の人格者”という美しい描写ばかりされているではありません。自分自身に怒りをぶつけることもあるし、他人に感情的な態度をとることもあります。どちらもエモーショナルな人間なのです。そして、ふたりとも文章を書く職業です。自分もそのはしくれなので、「もし自分が二人それぞれのシチュエーションになった場合、どう動くだろう?」「“表現の自由”は諸刃の剣か?」、など内省を続けて今日に至っています。
25日から上映されている『永遠のジャンゴ』のストーリーにはナチスとの関わりがあり、2月3日から上映される『THE PROMISE 君への誓い』はホロコーストの約30年前にあったジェノサイドに関する映画です。今、この時期、相次いでこういう作品が上映されることを、ぼくは偶然だと思いません。ぜひ見ていただきたいと思います。12月8日からTOHOシネマズ シャンテ等で全国ロードショー。175.png





by haradakazunori | 2017-11-27 10:35 | 映画

新世紀 パリ・オペラ座

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ドキュメンタリー映画『新世紀 パリ・オペラ座』の試写に行きました。監督はジャン=ステファヌ・ブロン。パリ・オペラ座はルイ14世の時代から350年もの間、オペラやバレエを上演する名門中の名門です。ぼくはパリに行ったことがないのですが(トランジットで立ち寄っただけ)、昔からぜひ訪れてみたいと思っている地です。この映画は、その気持ちをさらに高めてくれました。
2015年11月、同時多発テロでパリのバタクラン劇場が襲撃されました。そして2016年には、バンジャマン・ミルピエがバレエ団の芸術監督を辞任し(彼はナタリー・ポートマンの夫としても知られています。昨年12月には彼に的を絞った映画『ミルピエ』が日本公開されました)、オレリー・デュポンが後を引き継ぎました。歴史と伝統にあぐらをかいてはいけない。テロに屈してはいけない。いかに若い世代に、この場所に来てもらうか。未来を担う音楽家を、いかに育成していくか。どう、時代に向き合っていくか。この映画には、その“動き”が刻まれています。
ブロン監督はポスト・ロックを聴いて育った世代だそうです。オペラやバレエについては「全く知らなかった」といいます。しかしオペラ座という巨大な組織がどう機能しているのかに興味を持ったこと、プロデューサーのフィリップ・マルタンとオペラ座総裁のステファン・リスナーが知り合いだったことが重なり、このドキュメンタリーを作ることを決意します。ぼくもオペラやバレエについては「メトロポリタン・オペラハウス」で実演を見たぐらいで詳しくありません。ですが、大いに楽しめました。監督が「未知のもの」に出会い、心をおどらせながら生き生きと画面を編んでいることが、こちらにもしっかり伝わってくるのです。
それにしても、とんでもない人数がひとつの演目にかかわっています。オーケストラ、合唱団、そしてスタッフ。すさまじい数の人がきびきびと動きます。“裏方”の活躍にしっかりスポットを当てているのも、この映画の大きな魅力であると、ぼくは感じました。リハーサルも熱いです。ソーセージを意味するドイツ語“ヴルストケーゼ”の発音について、おそろしく丁寧にパワフルに指導するコーチと、必死にそれに食らいつきながら、rの発音をより完璧なものにしようと奮闘する若手歌手とのやりとりは、まさしくオペラにかける情熱のぶつかりあいです。12月9日からBunkamuraル・シネマで上映。169.png





by haradakazunori | 2017-11-19 08:13 | 映画

THE PROMISE 君への誓い

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映画『THE PROMISE 君への誓い』の試写に行きました。第一次世界大戦中のオスマン帝国によるアルメニア人大量虐殺事件をテーマにしたスペインとアメリカの合作映画です。ナチスのホロコーストほどには知られていない史実であり、不勉強にして自分もこの映画で初めて認識したところが多々あります。見終わったあと、とても重い内容を持つ分厚い本を読破したような気分になりました。
そしてこの作品は、映画だけではなく、音楽ファンにも強く訴えることと思います。監督のテリー・ジョージは、あの『ホテル・ルワンダ』を手がけた才人です。『ルワンダ』では俳優のドン・チードルが好演していました。ドンはマイルス・デイヴィスの大ファンで、自らトランペットを吹くことでも知られています。昨年日本で公開された『MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の5年間』で、ドンがマイルスに扮していたのをご記憶の方も多いことでしょう。
脚本はテリーとロビン・スウィコードが担当し、出演者には『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』(ニューヨーク好き、音楽好き、猫好きを魅了した作品です)に出ていたオスカー・アイザック、『イヴ・サンローラン』に出ていたシャルロット・ルボン、『ダークナイト ライジング』に出ていたクリスチャン・ベイルなどが揃います。
主人公は、医学を学ぶべくオスマン・トルコの小さな村からイスタンブールにやって来たアルメニア人の青年。村には婚約者がいましたが、フランス帰りの聡明なアルメニア人女性に惹かれてしまいます。しかし彼女には、取材のためにイスタンブールに滞在していたアメリカ人ジャーナリストの恋人がいました。静かに燃える三角関係。こうした“恋模様”と医学と大量虐殺と戦争がどうからみあい、いかに134分の物語を構成してゆくのか。これはもう、実際に映画館に足を運んでいただき体験していただくしかありません。たくさんのトピックを含んでいるのに、話は少しもブレることなく、圧倒的なスピード感を保ったままエンディングに突き進んでいきます。「よくこんなに巧みにまとめたなあ」と、終演後、ぼくは心の中で大拍手を送りました。そしてぼくは、この映画を、アルメニア系ミュージシャンのこと(ヨーロッパやアメリカで生まれた彼らは移民二世、三世です。特定の演奏家の名はあげませんが、名字の最後にanがつくことが多いので、検索は難しくないと思います)を思い浮かべながらも見ました。
主題歌はこの5月に急逝したクリス・コーネルが担当しています(生前最後の楽曲だそうです)。2018年2月3日から新宿バルト9ほか全国ロードショー。






by haradakazunori | 2017-11-18 11:39 | 映画

ジャコメッティ 最後の肖像

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映画『ジャコメッティ 最後の肖像』の試写に行きました。この夏に国立新美術館で行なわれた「ジャコメッティ展」に足を運んだ(現在は豊田市美術館で開催中)方は必見でしょう。
ドキュメンタリーではなく、実話を基にしたドラマです。舞台は1964年のパリ。ジャコメッティの個展に訪れていたアメリカ人作家で美術評論家のロードに、御大自ら「肖像画のモデルになってくれないか」と声をかけます。「これが名誉だ」と思ったロードはさっそく御大のアトリエに向かうのですが、そこは繊細だか大胆だかわからない大芸術家のことです。「すぐに仕上がるから」といったのに、完成が見えてきそうなところで悩みまくり消去、いつその作業に終わりが来るのかわからないまま、日にちは過ぎていきます。何度も飛行機会社に電話して予定を変更してもらうロードですが・・・
監督・脚本はスタンリー・トゥッチ、ジャコメッティに扮するのはオーストラリア出身のジェフリー・ラッシュ、ロードに扮するのはアメリカ出身のアーミー・ハマーです。会話はほぼ英語で行なわれます。「ひょうひょうとした」という言葉がぴったりの内容だと思いました。そして、個人的にはジャコメッティとチンピラのレストラン(?)でのやりとりに笑いを禁じ得ませんでした。音楽監督はピアニストのエヴァン・ルーリー。そうです、ジョン・ルーリーの弟で歴史的な“ラウンジ・リザ―ズ”の一員だった彼です。『ちょうちん』など日本映画の音楽も担当したことがありますが、ここでもストリングスを生かした趣味のいい、映画の流れを絶対に邪魔しない小気味よい音楽を挿入してくれます。「フランス・ギャルのあの曲が、あそこでかかるのか」と、びっくりさせられる箇所もあります。
2018年1月5日からTOHOシネマズ シャンテ他で全国ロードショー。165.png




by haradakazunori | 2017-11-08 11:46 | 映画

目撃者 闇の中の瞳

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映画『目撃者 闇の中の瞳』の試写に行きました。監督はチェン・ウェイハオ、出演はカイザー・チュアン、シュー・ウェイニン、アリス・クー、クリストファー・リー他。
英語のサブタイトルは“WHO KILLED COCK ROBIN”、このフレーズが画面に映し出されたことでぼくの“観る気”はさらに増しました。そして画面には3度、ロビン(こまどり)が登場します。これが何を象徴していたのかが、観終わった後、徐々にわかってきます。
映画の中で、主人公のシャオチー(カイザー扮する)はA)新聞社の実習生、B)若手辣腕記者、C)解雇、D)出世という道筋をたどります。「ああ、これはネタバレ絶対厳禁だ」と思ったのでもうこれ以上書きませんが、何がどうしてこうなって、謎めいたいくつかの事件に結びついていくのか、その過程を味わうのはとてもスリリングです。いろんな場所に散らばっていた糸が、何かに引き寄せられて、上映の間に、ひとつのダーティな束になっていくのです。
内容の濃いサスペンスでありホラーです。描写はもちろん、人間の卑怯さ、こなまずるさが暴き出されるように描かれています。チェン監督、才人です。2018年1月13日より新宿シネマカリテほか全国順次公開。149.png




by haradakazunori | 2017-11-07 11:08 | 映画

ホリデイ・イン

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「ホリデイ・イン」(第71回トニー賞ノミネート作品)の試写に行きました。これは通常の映画とは違います。ニューヨークのブロードウェイ・ミュージカルを11台のカメラで収録したライヴ映像なのです。音質も臨場感も抜群です。ぼくは、まだ物語に入る前、オーケストラの面々の指元や楽譜がクローズアップされた序曲のところから鳥肌が立ちました。画面からブロードウェイの香り(といっても、ぼくが現地で行く演劇はオフ・ブロードウェイやオフオフ・ブロードウェイが多いのですが)が漂ってきます。
この「ホリデイ・イン」は、1942年に制作された米国の同名映画(日本では47年に「スウィング・ホテル」という邦題で公開)の、史上初といえる舞台版です。新たに書き下ろされた脚本はゴードン・グリーンバーグとチャド・ホッジが担当しています。映画版にはないシチュエーションもガンガン入ってきますが、「ホワイト・クリスマス」や「ビー・ケアフル、イッツ・マイ・ハート」など、アーヴィング・バーリンの書いた名曲の数々が、これでもかというほど味わえるのは変わりません。セリフのところも歌のところも字幕がついていますから、登場人物がいかにウィットに富んだ言い回しをしているかも、わかっていただけると思います。収録場所は「Studio 54」(旧ニューヨーカー・シアター。日本の“スタジオ”という言葉から想像する狭さとは違います)、劇団は名門ラウンドアバウト・シアター・カンパニー(1965年発足)です。
映画ではジム役をビング・クロスビー、テッド役をフレッド・アステア、リンダ役をマージョリー・レイノルズが演じていましたが、この舞台版では順にブライス・ピンカム、コービン・ブルー、ローラ・リー・ゲイヤーが演じています。映画版よりもいろんな肌の人が登場していて、そこにぼくは「現代」を感じました。11月10日より、東銀座・東劇にて5日間限定上映。「ラ・ラ・ランド」でミュージカルに関心を持った方にもぜひ見てほしいです。169.png




by haradakazunori | 2017-10-28 11:59 | 映画

女の一生

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映画「女の一生」の試写に行きました。もちろん原作はギィ・ド・モーパッサンです。野村芳太郎が脚色した岩下志麻版、新藤兼人が脚色した乙羽信子版は見たことがありますが、考えてみればフランス語で見るのはこれが初めてです。出演はジュディット・シュムラ、ジャン=ピエール・ダルッサン他。監督はステファヌ・ブリゼです。
10代の清純な女性→子爵と交際を始める→子爵と結婚→別の女性が妊娠。父親は不明→夫の寝室に行くとその女性が→自分とつきあう以前から交際していたことを知るが、ほぼ同時に自分の妊娠にも気づく→謝る夫→つかの間の平穏な日々→しかし夫は伯爵夫人と交際を始める→母が死亡→母の手紙を見たら母も「禁断の恋をしていた」ことがわかる→伯爵、自害→息子が12歳になり、寄宿学校へ→息子、惚れた女性のために莫大な借金をする→息子を連れ返すが、まもなく「彼女とロンドンに行く」と家出
物語はまだまだ続くのですが、とにかくこういう、ドロドロしたアップダウンの激しいストーリーを、静謐な画面、抑えめのセリフ、ほとんど入らない音楽で淡々と描くのが、この映画のすごみであり、面白さです。原作が刊行されたのは1883年のこと。映画にも当時の情景が描かれており、ぼくは「時代劇」としても見ましたが、人間に「ひとを好きになる心」がある限り、このテーマは永遠です。
ヴェネツィア国際映画祭2016国際批評家連盟賞受賞、2016年ルイ・デリュック賞受賞など数々の栄誉に輝いています。12月9日から来年2月2日まで岩波ホールで上映。172.png




by haradakazunori | 2017-10-20 09:49 | 映画

リュミエール!

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映画「リュミエール!」の試写に行きました。
ぼくがこの作品のクレジットを見て、まず気になったのがプロデューサーにベルトラン・タヴェルニエの名があったことです。そうです、あの映画「ラウンド・ミッドナイト」(主演:デクスター・ゴードン、音楽ディレクター:ハービー・ハンコック)の監督です。彼がどんなふうに、“映画の父”リュミエール兄弟のレガシーに挑むのか、という興味がわいてきたのです。
もっともこの作品の監督・脚本・プロデューサー・ナレーションは、カンヌ国際映画祭総代表のティエリー・フレモーです。映像は1895年からの10年間、リュミエール研究所が残したシネマトグラフ短編映画集から。1422本のうち、108本(各50秒)がとりあげられています。
修復作業も秀逸だったのでしょう、今から120年も前の映像なのに、すごく鮮明で力強いです。1台の固定カメラで撮っていますが、豊かな陰影、確かな奥行きなどなど、まるでワンポイント・マイクで録音された優秀なモノラル・レコーディングを味わっているような、ものすごく自然な広がり、遠近感に触れることができました。そして、とりわけ生き生きしているなあと思ったのが、猫や馬の動き、そして子供たちの表情です。動画発明の時点ですでに、「動物と子供には勝てなかった」のです。
1900年パリ万博での、「木造の動く歩道」にも感銘を受けました。これに、ひょっとしたら川上音二郎・貞奴夫妻も乗っていたかもしれないのです。しかも夫妻はこのとき、活動写真も収録している(当作品には入っていません)。動く音二郎夫妻、フランスのどこかに残っているはずなので、ぜひ探し出してほしいものです。とにかく音二郎はレコーディングすらないのですから(夫妻を除く“音二郎一座”の音源は存在しますが)。
書きたいこと、矢間ほどありますが、百聞は一見にしかずです。10月28日より東京都写真美術館ホール他、全国順次公開。166.png





by haradakazunori | 2017-09-24 10:32 | 映画

ソニータ

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映画「ソニータ」の試写に行きました。監督はロクサレ・ガエム・マガミ(出演も)、出演はソニータ・アリザデ他。スイス、ドイツ、イランの合作です。
ソニータはアフガニスタンからイランに逃れた少女で、テヘラン郊外の貧困地域に滞在許可書なく暮らしている難民のひとりです。公的な書類が存在しないので、誕生日もわかりませんが、撮影当時はおそらく16~18歳。彼女にはラッパーになる夢があります。そして将来はマイケル・ジャクソンのようなスター、大勢の観客の前でパフォーマンスをしたいと考えています。大会場で歌うシンガーの写真に自分の顔写真を重ねて張り、「いつか私もこうなるんだ」と気持ちを込めます。
やがて彼女のラップは動画サイトで公開され、評判を集め始めます。もちろん親、親戚、学校にとって、そのラップは「わけのわからないもの」であったでしょうが、遠く海外の視聴者の目にも入り、ついには「奨学金を得てアメリカの音楽学校で学ばないか」というオファーも来ました。そのためにはパスポートやヴィザが必要です。さあ、彼女はそれを獲得できるのか・・・
メモをとらずに見たので詳細は定かではないのですが、彼女がカメラを見据えて、とても強い調子で「私が認められるべき場所に私は行きたい」というような発言をした場面が強く印象に残りました。ぼくも彼女と同じくらいの頃、燃えるような気持ちでそう思っていましたし、いまもその炎は過熱するばかり、おそらく死んでも探し続けるだろうと思うからです。おそらく現在のソニータは英語もマスターし、世界人へのステップを駆けあがっていることでしょう。
ドラマのようなドキュメンタリーであり、ドキュメンタリーのようなドラマでもある、という印象を受けました。サンダンス映画祭2016ワールドシネマ部門グランプリ&観客賞(ダブル受賞)など、多数の賞を受賞しています。この作品が日本でかけられることが決まって本当に良かったです。10月21日からアップリンク渋谷で公開。173.png




by haradakazunori | 2017-09-23 10:12 | 映画

デヴィッド・ギルモア ライヴ・アット・ポンペイ

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映像作品「デヴィッド・ギルモア ライヴ・アット・ポンペイ」の上映会に行きました。
ギルモアは、ぼくにとってまだ見ぬ大物です。ピンク・フロイドの公演は世代的に間に合わず(ロジャー・ウォーターズのソロは見に行きましたが)、ギルモア自身も約30年間来日していません。しかも、この作品のライヴ会場は“ポンペイ”です。ぼくは子供の頃、NHKのテレビ番組「ヤング・ミュージック・ショー」でピンク・フロイドのポンペイ・ライヴを見ました。プログレのプの字も知らない、というよりも、文字も読み書きもできなかったほど幼い頃ですが、「ああ、なんかすごいことをやっているんだなあ」ということだけはわかりました。
その世界遺産ポンペイで、2016年にギルモアがコンサートを開いたのです(ポンペイ円形闘技場)。むろんフロイドの曲もたくさん演奏しますが(「クレイジー・ダイアモンド」は鳥肌ものです)、なによりも印象に残ったのはレイドバック感、ブルース・ロック感でした。しかもバックの音が異様にかっこいい、と目をこらしたら、グレッグ・フィリンゲインズ(先日、デイヴ・コーズのバックでブルーノート東京に出ました)やチャック・リーヴェルが入っているのですから、それはかっこいいはずです。ギルモアもギターはセクシーだし、歌にコクがあるし、たたずまいが凛としていて、とにかくいいトシのとり方をしています。
空撮を含むカメラ・ワークも極上、夕方にライヴが始まり、進むにつれてどんどんあたりが暗くなっていくあたりも絶品です。照明や演出も申しぶんなく、最後の花火大噴射にはひきずり込まれるような魅力があります。もちろん音質も抜群ですし、ちゃんと小節や曲展開をわきまえて切り替わるカメラ・ワークは、とても気持ちの良いものでした。
9月25日に東京・Zepp Divercityと大阪・Zepp Namba、9月29日に北海道・札幌シネマフロンティアと愛知・ミッドランドスクエア シネマと福岡T・ジョイ博多で、“絶響上映ライヴ”が行なわれます。また、10月11日には「デラックス・ボックス・ヴァージョン」、「2CDヴァージョン」、「BDヴァージョン」がソニーミュージックから発売されます。157.png




by haradakazunori | 2017-09-22 10:55 | 映画

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