「原田和典 ブログ人」

あさがくるまえに

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映画「あさがくるまえに」(原題;R?parer les vivants)の試写に行きました。監督はコートジボワール出身のカテル・キレヴェレ、旧作「聖少女アンナ」と「スザンヌ」がいずれもカンヌ国際映画祭の「監督週間」と「批評家週間」の開幕上映作品に選ばれた気鋭です。この「あさがくるまえに」もヴェネツィア国際映画祭オリゾンティ部門に選ばれました。
原作はメイリス・ド・ケランガルの書いた小説「ザ・ハート」。メイリスは、いくつかの映画化のオファーの中から、キレヴェレ監督に白羽の矢を立てたとのことです。物語は夜明け前、シモン(ギャバン・ヴェルデ)がガールフレンドを部屋に残し、友人とサーフィンに出かけるところから始まります。とても楽しいサーフィンだったはずですが、それを終え、車で移動中に悲劇が起こります。シモンは脳死、呼び出された両親は「息子が蘇生する可能性は低いこと」を知らされ、続いて臓器提供の話を持ちかけられます。言葉にならないほどショックを受けているのに、何をいきなり臓器移植の話をするのか! 気持ちが昂るのは当然かもしれません。が、両親は話し合い、考えに考えて、臓器提供のほうへと考えをかえていきます。そこに至るまでの声の出し方や表情の変化も、ぼくにとっては本作の大きな見どころでした。
そしていっぽうでは、あるベテランの音楽家が心臓移植の機会を待っていました。彼女もまた悩んでいます。もう若くない自分が、他人の命と引き換えに、そこまで延命する意味があるのだろうか・・・
さまざまな悩み、決意が、セリフの少ないこの映画に陰影を加えていきます。音楽のアレキサンドル・デスブラは、かつてぼくに「ものすごくうるさくて、ありえないほど遠い」のサントラで大きなインパクトを与えた才人です。今回も幻想的、淡々と、すばらしい仕事をしています。9月16日からヒューマントラスト渋谷などで全国順次公開。177.png





by haradakazunori | 2017-07-26 10:31 | 映画

音楽ライター/ジャーナリスト、原田和典のブログです。
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