「原田和典 ブログ人」

作家、本当のJ.T.リロイ

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映画「作家、本当のJ.T.リロイ」の試写に行きました。
J.T.リロイはベストセラー3冊を残した“天才作家”です。デビュー作「サラ、神に背いた少年」は、母親とその恋人から虐待を受け、母親の真似をして女装の男娼となった彼の“自伝”ということで世に出ました。しかしこれは創作でした。ローラ・アルバ―トという女性が、J.T.リロイという別キャラを演じ、自分の中で醸造した物語でした。
しかし、作品が大きな評判を呼んだことにより、J.T.リロイには時の人として人前に出る必要が出ました。しかしローラは140㎏もある一児の母で、どう考えても「男子」には見えません。そこで彼女は痩せていて若い親戚の女性にウィッグをかぶせ、大きなサングラスをかけさせて、彼女を「J.T.リロイ」として人前に出します。
もちろん発言や行動は付き人「スピーディー」に扮したローラが遠隔操作していたのですが、その女性も生身の人間であり、やがてローラの想定を超えて動き出してしまいます。「本当に、あのサングラスの女性が、あの作品を書いたのか?」という疑問が、やはり文章を生業とする雑誌記者の間から起こったとしても不思議ではありません。
とにかく「事実は小説よりも奇なり」を地で行くような話です。また電話での会話や留守電用のマイクロカセットテープが、これほど大きくフィーチャーされた映画も稀でしょう。J.T.事件は90年代終わりから2000年代半ばまでの話です。でも今はメールやLINEの時代です。でもメールやLINEの画面がスクリーンに大写しになったところで、「回っているマイクロカセットテープから流れる、こもり気味の音声」が生み出す迫真性、不気味さには遠く及ばないだろうなあ、という気もしました。
監督のジェフ・フォイヤージークは、あの感動的な名作「悪魔とダニエル・ジョンストン」の監督でもあります。彼の着眼点はすごい。改めて敬意を表します。4月8日から新宿シネマカリテ、アップリンク渋谷で公開。061.gif




by haradakazunori | 2017-03-10 12:04 | 映画

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