「原田和典 ブログ人」

シング・ストリート 未来へのうた

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映画「シング・ストリート 未来へのうた」の試写に行きました。監督は「ONCE ダブリンの街角で」や「はじまりのうた」のジョン・カーニーが務めています。
すごく面白いです。音楽好きなら、セリフのいろんなところにニヤリとすると思います。「青春デンデケデケデケ」や「リンダリンダリンダ」の1980年代・アイルランド編という感じでもあります。
主人公の少年(フェルディア・ウォルシュ・ピーロ)は、学費の安い公立高校に転校します。アイルランド・ダブリンを襲った大不況によって、父親が職業を失ったからです。その高校は暴力喫煙なんでもありの世界。授業など誰も聞いていません(日本で「校内暴力」が話題になった時期と、ほぼ重なります)。少年の心の支えとなったのは「トップ・オブ・ザ・ポップス」というテレビの音楽番組でした。デュラン・デュランのミュージック・ビデオを見て、彼は感銘を受けます。
同時に彼は、モデルを自称する、ある年上の女性(ルーシー・ボイントン)のことがとても気になっていました。“僕のバンドのミュージック・ビデオに出ないか?”、まだバンドを作ってもいないのに少年は彼女に声をかけ、連絡先を手に入れます。
それからバンドを組むために仲間を集め、バンド名“シング・ストリート”を決め、練習し、オリジナル曲をつくり、ビデオを撮影し・・・という展開は、とても歯切れよく進みますが(1曲を仕上げるだけでもとんでもなく大変で、メンバー同士の確執や対立もあって・・・・というのが大半の現実だと思いますが、そんなのを映画でわざわざ見たくもないでしょう)、それと同時に少年の片思いが両思いに少しずつ変化していくことも大きな見どころです。
「僕は彼女と一緒にロンドンに行きたい。だけどそうするとバンドはどうなる?」。主人公の問いにバンド仲間が答えます。「先にロンドンに行ってバンドを売り込んでくれ。僕たちをこの町からひきあげてくれ」。
主人公は大のロック好きである兄の応援を得て、小さなモーターボートで彼女とふたり、海を渡ります。突然の大雨でびしょびしょになる途中で物語はエンディングへ向かいます。大海に飲み込まれたのか、それとも無事にロンドンに到着してレコード契約がとれたのか、それは見る者それぞれ想像すればいいのです。
“シング・ストリート”のオリジナル曲の作詞作曲はゲイリー・クラーク(かつてスコットランドのバンド“ダニー・ウィルソン”にいた)が担当。これまたポップで親しみやすく、とにかく物語にも映像にも音質にも、80年代ブリティッシュ・サウンドへの愛が溢れた作品という印象を受けました。バンド経験のある方は必見です。
7月9日ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷シネクイントほか全国順次ロードショー。061.gif




by haradakazunori | 2016-06-02 08:50 | 映画

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